10/07/29 11:47:59
慶尚南道昌原市でインターネットカフェを経営するキムさんは、アルバイトの学生一人と2交代で、24時間営業
している。4年前まではアルバイトを4人雇っていたが、最低賃金が引き上げられた影響で人件費が跳ね上がっため、
毎年一人ずつ減らしていった。キムさんは、「業種ごとに柔軟性を持って最低賃金を適用しなければ、店は成り
立たないし、学生たちもアルバイト先がなくなる」と語る。
労働団体と財界の間で以前から繰り広げられてきた「最低賃金論争」が、今年も再現された。雇用労働部は
28日、来年の最低賃金を1時間当たり4320ウォン(約318円)に最終決定し、来週中に告示する方針だ。この
結果、来年度から韓国国内で働く労働者は、8時間労働で1日に3万4560ウォン(約2546円)、週40時間では
1カ月90万2880ウォン(約6万6503 円)、同じく44時間では97万6320ウォン(約7万1912円)以上を受け取る
ことになる。
最低賃金に対する考え方をめぐっては、労働団体と財界は平行線をたどってきた。労働団体側は常に最低
賃金を引き上げるべきだと主張する一方で、財界は引き下げるべきとの立場を貫いている。韓国労働組合総連盟
(韓国労総)のチョン・ムンジュ企画政策室局長は、「経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、平均賃金に
対する最低賃金の割合は、韓国が26%で最低のレベルだ。アイルランドは52%、米国も33%だ」と主張する。
一方の財界は、「最低賃金を高く設定すれば、多くの人たちが仕事を失ってむしろ逆効果になる」としている。
韓国経営者総協会(経総)のファン・インチョル本部長は、「最低賃金の負担が大きくなれば、企業は雇用を
減らさなければならなくなる」と述べた。
統計庁によると、55-79歳の年齢層のうち、32.4%は50万ウォンから100万ウォン(約7万4000円)、また11.4%
は月収が50万ウォン(約3万7000円)以下でも働く意思があるとのことだ。
2007年には、警備などの業務に携わる労働者に最低賃金が適用されたため、マンションの警備員として働いて
いた高齢者の多くが仕事を失った。また、中小都市のタクシー業界で7月から最低賃金が適用されると、事業者
が免許を返納して運転手を解雇するケースが出るなど、むしろ逆効果につながるというのが財界の主張だ。
統計庁は1640万人の賃金労働者のうち、最低賃金以下で働く労働者数を210万人(12.8%)と見込んでいる。
その多くはインターネットカフェやコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、ファストフード店などだ。財界は「これらの
事業所には最低賃金の支払い能力もないため」と主張しているが、労働団体は「政府が取り締まりを怠っている
から」との立場だ。
檀国大学の金兌基(キム・テギ)教授は、「最低賃金を一律に決めるのではなく、年齢、業種、地域によって
区別を設けることも、一つの方法だ」と語る。.
■最低賃金制
国が賃金の最低額を設定し、事業主にその支払いを法的に強制する制度。一人以上の労働者を雇用する
すべての事業場、および外国人にも適用されるが、雇用労働部長官の認可を受けた身体障害者などは適用外
となる。これに違反した事業主は3年以下の懲役、または2000万ウォン(約147万円)以下の罰金に処せられる。
URLリンク(www.chosunonline.com)
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