10/09/21 00:20:08 xmF6EwruO
ネタが全く受けなくなった男はよしもとを後にした。
「ちくしょう。奴らさえいなければいまごろ」
男の目から悲しみの涙が溢れ出し、握りしめた拳は震えていた。
「見てろ、今にみてろよ、カス!」
男は喫茶店にはいると猛烈な勢いでスマートフォンのキーを押し始めた。
スマートフォンの小さなボタンの上をこの上ない早さで男の指が滑る。
幼い頃から何の取り柄もない男だったが、たった一つだけ先生から誉められたことを男は思い出した。
「ヒロ、この作文よくできてるぞ。目の付け所が新鮮でとても面白い。」夏休みの宿題など白紙で提出し怒られるなど恒例のことであったが、読書感想文だけはマメにやっていた。
今思えばそれも引きこもりの成果だろう。
みんなが学校で授業を受ける中家に一人で居るのは苦痛だった。
そんな息子を何とかしようと親も必死だったのだろう。
男の部屋には今も大量の本が並んでいる。
この中のいくつかは今でも暗記できるのだ。
文章が完成したときには男の額は汗に濡れスマートフォンも汗でべたべただった。
「野郎思い知れ!」
自信満々に男はインターネットの掲示板に出来たばかりの文章を書き込んだ。