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秋の天皇賞は、終わってみれば外人ジョッキーのワンツーだった。しかも、名牝ウオッカが樹立した従来の
レコードを、1秒1も更新するおまけ付きである。
乗った外人ジョッキーはピンナ、ベリー、ルメール、メンディザバルの4人。このたった4つの組み合わせで、
馬連7020円の馬券が取れるのだからおいしい。しかし、そう思うのは毎度のことながら、学習能力のない人間の
悲しさで、レースが終わった後である。
生産馬の血統レベルが上がり、上位を形成する馬の能力が紙一重になってきた。そのぶん後天的な要素、
つまり生産牧場、育成牧場、厩舎人、騎手の能力が、馬の運命を決める傾向がより強くなった。
その点、社台グループの良血馬は優秀なスタッフが育て、一流の施設で鍛錬され、間違いなく一流の厩舎に
入っていく。外人ジョッキーもかなり自由に選ぶことができる。そうした一つひとつの積み重ねで、とんでもない
格差社会が出来上がっている。
秋の天皇賞の結果を見ても、8着までを社台ファーム、ノーザンファーム、白老ファーム、いわゆる社台
グループの生産馬が独占。全出走馬18頭のうち、社台グループ以外の生産馬は6頭いたが、それらは枕を
並べて下位に討ち死にとなった。
これが、近年のGIレースの現実である。身内の運動会をやっているようなもので、こうなると合法的な範囲内で、
やりたい放題のことができる。勝たせたい馬に理想的な展開をつくるのも簡単だ。騎手や調教師だって、社台
グループは大のお得意さんだから、潰しにいくような無茶なことはしない。
しかし断わっておくが、これは八百長ではない。あくまでも「合法的なさじ加減」である。生産牧場がどこであろうと
関係ない、と考える人は多いかもしれない。だが、身内の運動会化は、こうした合法的でありながら実は危ない
部分もはらんでいる。公正競馬のためにも、他の牧場にもう少し頑張ってもらわないと困る。
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