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2011年08月04日17時00分
提供:ゲンダイネット
公開中のスタジオジブリ作品「コクリコ坂から」の評判がいい。
監督はあの宮崎駿の長男・吾朗だ。5年前の初監督作品「ゲド戦記」で評論家やアニメ関係者から酷評された“不肖の息子”である。
さすがに今回は成長したようだ。アニメ評論家の氷川竜介氏が言う。
「1963年の日本の風景や生活描写をうまく描いています。
臨場感、説得力、存在感をアニメで作るのは難しいのですが、背景とキャラクターで繊細に表現しています。
虚構にリアリティーを持たせられる才能は父親から受け継いでいる。
絵柄も似ていますよ。緻密でテンポよくつくっていくことができ、まとめる才能もある。共感を得やすい作品だと思います」
ただ、物足りないのは個性。企画、脚本が駿ということもあるが、吾朗の色が出ていないというのだ。
映画批評家の前田有一氏はこう話す。
「自分が企画したほうがよくなると思っていろんなところに口を出したのでしょうが、駿氏は思い入れが強烈に出ます。
例えば、女性のキャラクター。ナウシカのような強い女、愛に生きる女が好きで、今回も主人公・海の母親がこのタイプです。
そのため、吾朗氏のオリジナリティーが感じられなくなっています」
駿は独自の世界観を作り出すのが得意だ。
しかし、吾朗はゲド戦記でそれができず、「父親の作品の借り物になってしまった」(氷川氏)という。
それで父を頼り、父は息子を物足りないとフォローする。個性が発揮されないのはこんな理由なのかも知れない。
「吾朗氏は、等身大の恋愛を描いた『耳をすませば』やノスタルジーを感じさせる『おもひでぽろぽろ』のような作品づくりで才能を生かせる監督」(氷川氏)
だが、ジブリの代名詞ともいえる空を飛んだり、動物と話したりと空想をかきたてる作品で親父のように観客を魅了するには、
まだまだ時間がかかりそうだ。
(日刊ゲンダイ2011年8月3日掲載)
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