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東日本大震災では、スポーツ界の対応の違いがクローズアップされた。株を上げたサッカーと、評判を落としたプロ野球。
既に公式戦が始まり、プロ野球も人気を取り戻しつつあるが、元プロ野球選手でサンケイスポーツ専属評論の江本孟紀氏は
「組織の差が出た」と強調する。サッカーが3月29日に日本代表対Jリーグ選抜の慈善試合を開催するなどして素早く
統一感を打ち出したのに対し、プロ野球は各球団の意向が重視される権力構造が常識的な対応を遅らせた感がある。(北川信行)
■J「適切」8割
サッカーの“優等生ぶり”は、調査結果にも表れている。マーケティングリサーチ会社「モバイルマーケティング・ジャパン」
(本社・東京都港区)がプロ野球、サッカーに相撲を加えたスポーツ界の震災後の対応について実施したアンケートによると、
サッカーの対応を「適切だった」と回答した人は8割を超えたが、プロ野球は約5割。プロ野球には「開幕前のゴタゴタで
イメージダウンは否めない」といった厳しい意見も寄せられた。
■室町と江戸幕府
対応の違いを生んだ組織の差はどこにあるのか? 江本氏は「プロ野球は日頃から球団単位で行動し、球団の利益を最優先している。
コミッショナーがいて、球団のオーナー、代表がいて、さらに陰のコミッショナーもいる。それぞれが自分の身の回りのことだけを
考えるのが、クセのようになっている」と分析。関西大学副学長の黒田勇教授(スポーツ社会学)は「プロ野球には明確なリーダーが
存在しなかった。サッカーには『サッカーファミリー』との意識が根付いているが、興行として出発したプロ野球には『巨人ファミリー』
や『阪神ファミリー』はあっても、『野球ファミリー』の感覚はない」と指摘する。
組織のトップに位置するコミッショナーやJリーグのチェアマンを「将軍」にたとえるなら、各地に実力者が割拠し、将軍が“お飾り”
だった室町幕府と、中央集権的な江戸幕府の違いとも言えるだろうか。
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