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ラジオに癒やされ 大震災「衝撃映像」より「いつものトーク」
「衝撃映像」なきラジオの優しさに癒やされる人たちが増えている。がれきの山と化した
被災地や原子力発電所の事故など悲惨な映像が繰り返し流れ、特番が続いたテレビと
対照的に、ラジオは早い段階からレギュラー編成に戻った。聴き慣れた声や音楽が
日常感や安心感を与えている。
「正確な情報を届けるのが第一ですが、いつもの人間のいつものしゃべりと、心にいい
音楽で、少しでも、ふさぐ心を解きほぐしたい。普段から緩い番組ですが、さらに緩くして
いるかもしれません」
文化放送「くにまるジャパン」の野村邦丸アナウンサーは、こう話す。番組は十四日から、
一部コーナーは変更されたものの、いつも通り放送された。一つだけ、いつもと違ったのは、
オープニング曲の出だしが「くにまるジャパン~」から「がんばれジャパン~」に、曲調も
アップテンポから穏やかな特別バージョンに変わったこと。
いつもと同じ放送の大切さを、野村アナは阪神大震災の時に関西のラジオ局から
学んだという。「『あまり窮屈な放送をすることはない。もし東京でも地震が起きたら、
安心できる放送を』と教えられたので、迷いはなかった」
震災後、普段は番組を聴いていない若い人たちからの反響が増えている。特に、
平成生まれの若者たちのたくましさに彼自身も励まされているのだという。
ニッポン放送の深夜番組「オールナイトニッポン」も、十四日から通常通り放送した。
「テレビが衝撃映像を流す中で、何が自分たちにできるか考えた。リスナーからは、
いつもの声が聴きたいという意見が寄せられていた。現実を突きつけるなら映像の力は
すごいかもしれないが、日常や生活に密着することがラジオの役割」と角銅秀人チーフ
ディレクター。
番組は全国放送。被災地の人にも、遠く離れた場所の人にも、それぞれの「気持ち」を
伝えてもらった。
(>>2に続く)
ソース:東京新聞 2011年3月23日 朝刊 (宮崎美紀子)
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