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足かけ３５年にわたる広島東洋カープのファンだが、今気になるのは横浜ベイスターズだ。
幼いころ、ベイスターズの前身である大洋ホエールズの本拠地、
川崎球場で対広島戦をしばしば観戦していたこともあって親近感を抱いている。
そのベイスターズが経営問題で大きく揺れている。
住生活グループが買収に名乗りを上げたという第一報に接したとき、
「住宅関連業界の中でも、とくにコスト面でシビアなグループが、あえて火中のクリを拾うのか」
といった率直な疑問を抱いた。それほど球団の経営は負担が重い。
２００９年度は巨人と阪神、広島を除く９球団が実質的に赤字。
同グループも最終的には、横浜の親会社であるＴＢＳホールディングスとの間で条件が折り合わず、
買収交渉は決裂した。
プロ野球“市場”を取り巻く環境は、年々悪化している。
象徴的な事例が、視聴率の悪化に伴って、地上波放送が大幅に減ったことだ。
今年はセパともにまれに見るペナントレースが繰り広げられたが、
地上波で試合を楽しめる機会がほとんどなく、あまりピンとこなかった。
ドル箱であるはずの日本シリーズさえも、今回は３試合で試合中継がない。
私は野球を「国技」だと思っている。しかし、こうした市場環境が続けば、
野球に親近感を抱く層が少なくなり負の連鎖が加速する恐れがある。
男子ゴルフも同様の環境にあり、スポンサーの撤退が深刻視されていた。
このためプロ側は財界に働きかけて新たなツアーの導入に成功し一息ついたが、
何と言っても石川遼選手の登場が下支えとなっている。
今年のドラフトでは、日本ハムが早大の斎藤佑樹投手との交渉権を獲得した。
スーパースターのプロ野球入りを契機として、
市場の再活性化に向けた議論が大きく進展することに期待したい。（伊藤俊祐）
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