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[産経抄]
「大阪ダブル選」を制して、大阪新市長に決まった橋下徹氏(42)の演説に、「おか
んネタ」と呼ばれるものがある。「『人柄を良くしろ』って、おかんから毎日メールがく
る」「『徹、おまえ口が汚い』っていわれて、正座させられた」。
▼街頭演説でこんな話を持ち出して、聴衆を笑わせる。いい年をして、母親から説教さ
れる「情けない息子」を演じることで、「独裁」批判をかわす意図があるのかもしれない。
▼「おかん」という言葉は、大阪出身のお笑い芸人が広めたと思われがちだが、実は幕
末の大坂で、すでに使われていた(『「お笑い」日本語革命』新潮社)。著者の松本修さ
んによると、もともと裕福な町人の息子や娘が使う、母親への敬意あふれる呼称だった
が、次第に貧しい庶民のみが用いるようになった。
▼実は近年復活するまで、戦後は廃れていた時期が長かった。「おかん」という言葉
が、小説や落語、喜劇で盛んに使われ、「沈みゆく夕陽のように、大阪の街々に最後の光
芒(こうぼう)を放っていた」のは、大正から昭和にかけてだ。
▼当時は、名市長とうたわれた関一のもと、紡績産業を中心に商工業が発展し、面積、
人口ともに東京市を抜いて、日本一の大都市となっていた。「大(だい)大阪」と呼ばれ
たこの時代に、府と市を再編成する、大阪都構想を掲げる橋下氏も、もちろん強い関心を
寄せているはずだ。
▼昨年訪英して、大ロンドン市(グレーターロンドン)の副市長と会談した際、「グレ
ーター大阪にしなければ」と語っている。演説の「おかん」ネタは有権者に、殷賑(いん
しん)を極めた「大大阪」の再現を印象づける効果があった。それが大勝利の要因、とみ
るのは、さすがに穿(うが)ち過ぎだろうが。