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産経抄 10月23日
大阪府、大阪市ともに庁舎の老朽化が進んでいたころのことだ。先に
建て替え計画が具体化したのが市役所の方である。いっそ手狭な現
在地から府庁近くに移転する案もあった。だが市内部に「府のそばに
なんか行けるか」と反対が強く立ち消えになったという。
▼当時のうわさであり真偽は定かでない。だが東京と並ぶ大阪の経
済・文化を引っ張ってきた「府」と「市」のライバル意識の強さを示す話
ではある。比較的うまくいったのは大阪万博などの一時期で「仲の悪
い夫婦のようだ」と悪口をたたかれてきた。
▼法的には「府」の方が格上だろう。だが昭和30年代ごろまで、府民
の半数以上は大阪市民であり、企業の大多数も「市」にあった。「市」
は「府」を田舎扱いしてきた面もあり、その意識はドーナツ化で大阪市
の比重が低下した後もあまり変わらない。
▼これでは府市協調が必要な企業誘致など産業政策や都市基盤整
備がうまくいくはずがない。大阪の地盤沈下も止められない。そう考え
た橋下徹大阪府知事は「大阪都」という構想を打ち出した。その名の
通り大阪を東京のようにし、行政を一本化する考えのようだ。
▼橋下氏は任期途中で知事を辞職し、「市」を解体するものとして「大
阪都」に反対する平松邦夫市長に対抗して大阪市長選に出馬すると
いう。長年の府市の確執に決着をつける意気込みのようだ。だがそれ
だけで簡単に「大阪都」が実現するとは思えない。
▼大阪のような二重行政の悩みは神奈川や愛知などにも多かれ少な
かれある。どう解消するか国の指針が必要だからだ。それを何も示さ
ず「大阪が勝手にやることでもない」(藤村修官房長官)とはあまりに能
天気な話である。