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産経抄 10月19日
クイズみたいで恐縮だが、米国で初めてオリンピックを開いた都市をご
存じであろうか。答えはニューヨークでもシカゴでもない。セントルイスだ。
中部ミズーリ州にあり、市域だけだと人口40万足らず、日本の県庁所
在地に多い規模の中都市と思えばいい。
▼1904年に開かれた第3回大会である。といっても、この年に行われ
たセントルイス博覧会の「余興」としてだった。参加者は10カ国余りの
数百人で、大半は米国内の居住者だった。今の華やかな五輪からは
考えられないような地味な大会で終わった。
▼だが、メダルの作製すら間に合わなかったという前回のパリ大会に
比べ、運営や設備は完璧だった。その後の大会の規範となったそうで、
その意味でセントルイスは五輪史に名前を残した。日本がロシアと戦っ
ていたころ、地方都市の力を見せつけたのだ。
▼もうひとつ、この都市の名前を全米中に高めてきたのは野球のカー
ジナルスである。五輪より早い1882年に創設された老舗(しにせ)球
団だ。スタン・ミュージアルら名選手を輩出し、ワールドシリーズで10回
も優勝したという名門中の名門だ。
▼そのセントルイス・カージナルスが今年、ナショナルリーグ18回目の
優勝を果たした。同じ中部、ミルウォーキーが本拠地のブルワーズと
の試合をテレビ観戦していて圧倒された。壮絶な打撃戦ばかりでなく、
両市の市民たちの熱狂的な応援によってである。
▼チームの活躍が市民を元気づけているのは当然だが、逆に市民た
ちの情熱が球団を育てている。そんな自分たちの町への愛情はアメリ
カという国をも支えてきた。国情や歴史の違いはあるにしても、日本の
国づくりを考えるとき学んでいいことだ。