11/10/03 06:01:02.01 fMzr4cAkP
産経抄 10月3日
「今年も金賞でした」。熊本県山都町(やまとちょう)に住む松岡忠明さん
(68)に久しぶりに電話を入れると、明るい声が返ってきた。山都町に秋
の訪れを告げる「八朔祭(はっさくまつり)」については、2年前、九州・山
口地区で現地印刷を始めた日のコラムで紹介した。
▼竹や木の皮などの自然の材料を使って、世相を風刺する「大造り物」
が呼び物だ。毎年地区ごとに出来栄えを競い合い、松岡さんのチームが、
見事“10連覇”を果たした。作品は、寺院の入り口の左右に立つ、仁王
像をモデルにした「守護神仁王降臨(しゅごじんにおうこうりん)」だ。
▼あ・うんの呼吸で東日本大震災からの復興に取り組む、決意を表現し
たそうだ。今年はもうひとつ大きなニュースがある。大阪府吹田市にある
「国立民族学博物館」で来春から、「守護神仁王降臨」の常設展示が決
まった。「だから今年は腐りやすい葉っぱを使わず、運搬を考えて解体し
やすいようにするなど苦労しました」と松岡さんはいう。
▼九州・山口版によって、松岡さんのような古くからの読者に、新しいニュ
ースを届けられるようになった。一方で小欄も、九州のきめの細かい情報
に触れることができる。
▼熊本県高森町を本拠にして、30年近く韓国に通い続けている福田章さ
ん(53)の連載コラムは、「日韓大交流時代」を迎えつつある玄界灘の両
岸の現状を伝えていた。たとえば山口県下関市は最近、駅前の商店街に
「釜山門」を建て、「リトル釜山」として売り出し中だ。
▼リピーターが目立つ韓国からの旅行者は、ローカル線を乗り継いで奥
地へと向かっている。特に母親連れの旅は、「孝道旅行(ヒョドヨヘン)」と
呼ばれ、一種のブームになっているとか。九州のにぎわいを、復興への
起爆剤にする知恵はないものか。