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産経抄 9月28日
プーチン(首相)が持ち込もうとしているのは、ブレジネフ期の「腐臭」、熟した
臭いである。ロシア文学者、亀山郁夫氏は佐藤優氏との対談集『ロシア 闇と
魂の国家』の中でそう語っている。「自身がその記憶を持っているのでしょうね」
とも述べる。
▼ブレジネフ期とは1964年から20年近くソ連に君臨したブレジネフ書記長の
時代である。「プラハの春」を潰したチェコへの軍事介入、アフガン侵攻と西側
諸国の評判は極めて悪い。だが今、中高年のロシア人たちは「庶民の黄金時
代だった」と感じているという。
▼少なくとも前半は国内的には安定した時代だった。「貧しいなかに十分な幸
せな空間がつくれた」と受け止められているのである。1952年生まれのプー
チン氏はそんな時を「団地のガキ大将」などとして過ごし、時代の空気を体に
しみこませてきたようだ。
▼そのプーチン氏が来春の選挙でメドベージェフ氏に代わり大統領に返り咲
くらしい。といってもこの4年間も実質、プーチン氏が最高実力者だった。来年
から大統領は2期12年務められるというから、前の8年を含め24年「プーチ
ン時代」が続くかもしれない。
▼真の民主主義国なら考えられないことだ。だが亀山氏が指摘するブレジネ
フ期への郷愁が国民にあるとすれば、わからなくもない。守旧派の台頭や官
僚機構の肥大化を招いたプーチン氏の強権的手法はブレジネフ氏のそれと
よく似ているからだ。
▼しかしブレジネフ時代も後半、改革が進まず、今「停滞の時代」と批判され
る。プーチン政権もあのとき同様、国内政治の行き詰まりから目をそらすため
に国外に刃(やいば)を向けはしまいか。国際社会も注視しなければなるまい。