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産経抄 9月23日
〈徘徊(はいかい)老人を人工衛星に監視しゆくを「進歩」といふ〉(小池光)。
高齢者にGPS(衛星利用測位システム)機能付きの携帯電話を持ってもら
い、人工衛星からの電波を受信して、居場所を確認するサービスが、普及
している。
▼2週間ほど前には、恋人の行動を逐一報告してくれるスマートフォン用の
アプリケーションについて書いたばかりだ。それほど発達した科学技術をも
ってしても、人工衛星が地球のどこに落下するのか、予想できないのが不
思議で仕方がない。
▼米航空宇宙局(NASA)によれば、宇宙を漂流していた大気観測衛星(U
ARS)が、まもなく大気圏に突入する。重さ約6トン、長さ約10メートルの人
工衛星の大部分は燃え尽きるが、合計の重さが約500キロにもなる26個
の金属破片が、地表面に到達する。しかも場所は特定できないというのだ。
▼世界の誰かに当たる確率は3200分の1と試算されている。と、言われ
てもぴんと来ないが、小欄がけがをする確率は、宝くじに当たるよりもずっ
と低そうだ。ただ原子力発電所などを直撃して、被害が出る可能性もゼロ
ではない。
▼「ああ こんなに 小さな ちびちゃんを ここまで 走らせた 地球の 用
事は なんだったのだろう」。まど・みちおさんは、ビーズつなぎの手から落
ちた赤いビーズの行方を追って、『地球の用事』という詩を書いている。
▼落下する人工衛星は20年前にスペースシャトルによって打ち上げられ、
数え切れないほど地球を回り続け、2005年に運用を停止した。誰にも迷
惑をかけずに海か砂漠に落ちてくれれば、ねぎらいの言葉をかけてやりた
い。「人間の用事を果たしてくれて、お疲れさま」と。