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8月30日
「え、勝因は僕じゃないの?」。きのうの民主党代表選で新代表に選出された瞬間の、
野田佳彦財務相のつぶやきではない。サラリーマンのつぶやきをモチーフに、日本たばこ産業(JT)が
最近まで缶コーヒーの広告キャンペーンを繰り広げてきた。そのコピーを集めた『ルーツ飲んでゴー!』
(岩田純平、関健太郎著、扶桑社)のなかにある。
▼実は今回の民主党代表選に符合するような、つぶやきも少なくない。たとえば「裏表がない、というより、
全面的に裏」。政治資金をめぐる多くの疑惑の説明を拒み続ける、小沢一郎元代表の本質を見事に言い表している。
▼立候補どころか投票権もない小沢氏に、代表選で担ぎ出されたのが、海江田万里経済産業相だ。
「いい友達、というか、都合のいい友達」。小沢氏にとって海江田氏は、都合のいい候補者だった。
▼なにしろその意向をくんで、参加に積極的だったはずの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に一転、
慎重姿勢を見せ始めた。ただ民主党マニフェストの見直しについて、自民、公明両党と確認した合意を白紙に戻す考えを示すにいたって、
さすがに反発の声を呼び起こした。
▼一方、候補者のなかでただ一人増税を訴えた野田氏は、「『A級戦犯』と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではない」と発言するなど、
歴史認識にもぶれがない。海江田氏の節操のなさが目立つにつれて、存在感を増していった。
▼もっとも、鳩山、菅両政権が残した負の遺産はあまりにも大きい。震災復興で早急に成果を挙げない限り、
野田政権の行き詰まりは必定だ。なにしろ多くの有権者は、前回の総選挙で民主党に「ほれた理由が、思い出せない」でいる。