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産経抄 8月24日
「周旋の才あり」。日本の初代首相となった伊藤博文は、若い頃通った松下
村塾で、師の吉田松陰からこう評された。伊藤は不服だったともいわれるが、
少なくとも師の教えを守り、身命をなげうって国難に対処した。
▼松下村塾の現代版と期待された松下政経塾の創設者、松下幸之助は、
塾生たちをどんなふうに見ていたのだろう。その一人、前原誠司前外相(49)
がきのう、民主党の代表選に立候補を表明し、菅直人首相の後継に名乗り
を上げた。また塾では先輩に当たる、野田佳彦財務相(54)の立候補の意
志も固いという。
▼パナソニックの創業者である松下が、21世紀の政治を担う人材育成をめ
ざし私財を投じて塾を設立したのは昭和54(1979)年だった。当初、塾出
身者の政界進出には冷ややかな見方が多かった。今や出身者の国会議員
は首相候補者を含め40人近くを数える。
▼泉下の松下はさぞ満足と思いきや、たとえば塾設立の立役者の一人、江
口克彦参院議員は、「多くの卒業生は政治家として『出世』するために松下
氏の教えを忘れている」と夕刊フジで苦言を呈していた。
▼かつて塾生と松下との間でこんなやりとりがあったという。「金を使ってま
ず政治家になり、その後で社会をよくするのはどうでしょうか」「泥棒を正す
のに、まず泥棒になるというのなら意味がない」。
▼まず首相になる、という考えも同じく間違っている。まして前原氏は、外国
人献金問題で外相を辞任したばかりだ。拉致事件の容疑者側につながる団
体と民主党との不可解な関係が取りざたされるなか、すべてを明らかにする
義務がある。その上で、政権の失政がもたらした、危機を克服する道筋を示
してほしい。