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産経抄 6月6日
池波正太郎のベストセラー小説『鬼平犯科帳』の魅力は、主人公の長谷川
平蔵ら捕り手側の活躍だけではない。個性豊かな盗賊たちの存在も楽しい。
ひとくちに盗賊といってもさまざまだ。
▼一、盗まれて難儀するものには、手をださぬこと。一、盗(つと)めするとき、
人を殺傷せぬこと。一、女を手ごめにせぬこと。この「盗めの三カ条」を守り、
平蔵が「ほれぼれするような盗み」もあれば、押し入った商家の者を皆殺し
にする冷酷な盗賊も少なくない。
▼火付盗賊改方の長官に就任直後に対決した「野槌(のづち)の弥平」一味
も、そんな「畜生ばたらき」の盗賊だった。平蔵は捕まえた手下の足の甲に、
五寸釘(くぎ)を打ち込むというすさまじい拷問で仲間の居所を白状させ、一
網打尽にする。