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産経抄 5月30日
「○○線脱線 動脈止まる ○万人に影響」。あまり目にしたくない新聞
の見出しだ。こんな鉄道事故が朝夕の通勤時間帯に起これば、大混乱
は避けられない。
▼ターミナル駅は、たちまち人であふれ返る。駅職員の説明を聞いて
バス乗り場へ急ぐ人、目的地に向かって歩き始める人、職員にくってか
かる人、それぞれだ。事故車両に乗り合わせると、最寄り駅まで歩かさ
れる場合もある。
▼とりわけ悲惨なのは、何時間も冷房のない電車に閉じこめられた人た
ちだ。気分が悪くなって、救急車で運ばれる人も続出する。「もしこの電
車が立ち往生したら、トイレをがまんできるだろうか」。通勤の途中、そ
んな心配を何度したことか。
▼27日夜、北海道占冠(しむかっぷ)村付近のトンネル内で起きた特急
の脱線炎上事故では、幸い死者はいなかった。ただ、大惨事の可能性
もあった。約240人の乗客はトイレの心配どころではない。電灯が消え
煙が充満した車内には、悲鳴が響いていたという。
▼「車外に出ないで」と制止する乗務員を振り切って、乗客は扉を開け、
すすだらけになりながらトンネルを抜けた。この間、運転士や車掌は火
災に気づかず、JR北海道本社は消防と警察からの連絡で知ったという
から、あきれてしまう。再発防止に加えて、事故後の乗客対応策の総点
検を求めたい。
▼とはいえ、日本人の鉄道に対する信頼はまだ厚い。今年1月末の大
雪のために、JR北陸線で特急が2日間立ち往生した事故での出来事だ。
除雪作業に当たる職員に対して、子供の字で窓に手紙が張り出された。
「がんばってくれてありがとう。おしごとがんばってください。みんなより」。
近頃珍しい、いい話だった。