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産経抄 5月26日
「俺は浮気はしない」。さだまさしさんの『関白宣言』で、新郎が新婦に威勢
よく宣言する。もっとも、たちまち腰が砕けてしまう。「たぶん」「しないんじゃ
ないかな」「ま、ちょっと」…。
▼原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長の発言訂正が続いて
いる。震災翌日、東京電力福島第1原発1号機への海水注入をめぐって、
菅直人首相にどんなアドバイスをしたのか。当初の政府発表では「再臨界
の可能性がある」と発言したとされていた。
▼これに班目氏が反発し、「可能性はゼロではない」と訂正した。ところが
24日の衆院特別委員会では、「『事実上のゼロ』という意味だ」と語ってい
る。海水注入の中断にかかわったとの見方を否定したいようだ。
▼それはさておき、「ゼロ」との言い切り方に違和感を覚える。『関白宣言』
の歌詞にあるように、人生、いや世の中では、どんな変事も起こりうる。
1000年に1度の「東日本大震災」と、「想定外」の原発事故に遭遇して、
思い知ったばかりだ。
▼残念ながら、冤罪(えんざい)事件もゼロではない。昭和42年に起きた
「布川事件」で水戸地裁土浦支部は、無期懲役の判決が確定していた2人
に対し、強盗殺人について無罪を言い渡した。戦後に死刑か無期懲役が
確定し、再審無罪となった事件では、7件目となる。
▼判決では、捜査の不備を厳しく指摘している。もちろん、再発防止のた
めに司法界全体が猛省すべきだ。その上で人が人を裁く過程で、誤りが
ゼロにはなり得ない、と覚悟すべきだろう。日本は再審へのハードルが
高すぎるといわれる。冤罪の可能性が出てきた時点で、救済の手立てが
なかったのか。事件発生から44年の歳月はあまりにも長すぎる。