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5月12日
2011.5.12 03:14
東日本大震災の発生以来、取り上げたくてもかなわなかったテーマは数多い。萩本欽一さんと
生み出した斬新なコントで、一世を風靡(ふうび)した坂上二郎さんの追悼もそのひとつだ。76歳
の生涯を終えたのは、震災の前日だった。
▼「二郎さんが腰をもじもじして 欽ちゃんがぴょんと飛びあがって あ、は、は、は、は、 遠す
ぎる未来の前で 今を持て余していたぼくら」。四元康祐(よつもと・やすひろ)さんの詩「コント55
号」から引いた。
▼四元さんと同世代の小欄も、毎日笑い転げていた能天気な小学生だった。遠すぎる未来に、
千年に一度という規模の大津波が、1万を超える人命を奪い、世界が固唾(かたず)を呑(の)む
原発事故を引き起こすとは、もちろん夢にも思わない。
▼これは「天才バカボン」や「巨人の星」など、1960年代から70年代にかけての人気テレビ番
組を題材にした作品とともに、詩集『ゴールデンアワー』(新潮社)に収められている。タイトルは、
視聴率の高い夜の時間帯という意味では、和製英語だ。
▼四元さんによれば英語では、医師の隠語として使われる。緊急医療で患者の生死を分ける、
最初の1時間を指す。きのう、大震災からの2カ月は、千里の道の一歩だと書いた。同時に被災
地の復興と、原発事故の収拾の成否を分ける「ゴールデンアワー」でもあった。
▼被災現場での住民の冷静な行動と、自衛隊や警察、消防の奮闘は称賛に値する。一方菅
直人首相は会見で、原発事故を防げなかったことについては謝罪したものの、不用意な言動と
指導力の欠如から被害を拡大させた責任には触れなかった。報道機関の反省も含めて、「手術」
が適当だったのか。遠くない未来に、きっちりとした検証が必要だ。