10/11/06 18:30:03 k1HyPXfU0
>>70つづき
1990年代後半から普及したCTは、高画質が得られる代償として、単純エックス線撮影の100~500倍もの放射線被曝を余儀なくされる。
しかし、がん放射線治療に比べ格段に低い線量だとして、軽視する医療関係者が多い。前述のランセット論文はそんな風潮に警鐘を鳴らしたといえる。
しかし、CTを多用してやまない医療機関、医師たちは依然として多い。
東京都内の基幹的な民間病院の放射線科部長は、日常的に繰り広げられるCT乱用の典型として、ある病院での二つの事例を挙げる。
20代男性は右下腹部痛で深夜に受診。CTで腹部全体を二通りの方法でスキャンしたが、痛みが続くため翌日再びスキャンした。
最終的に虫垂炎の診断が下されたが、患者は計4回の腹部CTで37ミリグレイ(mGy)の被曝をしたことになる。
この部長によれば、男性生殖器に対する一時不妊の確定的線量が150mGyなので、精子の量が一時的に低下した可能性が高いという。
腹部超音波検査を行い、診断が確定しない場合にのみCT検査を一回行えば十分だったと指摘する。
70代女性が転倒して頭部を打ち、深夜に運ばれてCT撮影の結果、外傷性クモ膜下出血と診断された。
しかし、その後も血腫増大の有無確認のため再度CT、翌日、翌々日も「念のため」CT、退院前にも「ダメ押し」CT。
合計五回の被曝線量は557mGyだった。
眼球の水晶体が混濁する線量は500~2000mGyとされ、女性は水晶体混濁の危険水域に達していた。
2回目以降は、被曝の心配がないMRI(磁気共鳴画像装置)検査でよかったという。
単純エックス線による被曝線量は、胸部撮影で0.05~0.1mGyだ。一方、胸部CTは10mGyと一気に100倍以上に増える。
腹部CTで約200倍、頭部CTになると、800~1500倍にもなる。被曝線量が200mGyを超えると、将来的にがんや遺伝子に影響を及ぼすリスクが生じるとされている。