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産経抄 10月5日
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が、ノーベル賞を受賞する吉報を待ってい
たら、もうひとつの大きなニュースが飛び込んできた。小沢一郎・元民主党幹事長の
資金管理団体「陸山会」の土地取引事件で、東京第5検察審査会は、小沢氏を強制
的に起訴する議決書を公表した。
▼その瞬間、「検察3連敗」の言葉が思い浮かんだ。1敗目は言うまでもない。厚生
労働省の村木厚子さんの無罪が確定した郵便不正事件である。大阪地検の主任検
事、前田恒彦容疑者(43)の証拠改竄(かいざん)が発覚して、特捜部の存在意義
まで問われる事態となった。
▼2敗目は、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件への対応だ。中国人船長を処
分保留にした理由を、那覇地検の次席検事はこう語った。「今後の日中関係を考慮
する」。検察が外交問題を理由に、法を超えた政治判断を行うあしき前例を作ってし
まった。政府の圧力をあてこすった発言と、評価する声が一部にあるにしろ。
▼今回の議決書を、3敗目と決めつけるのは早計かもしれない。小沢氏を不起訴と
した検察の判断の是非は、公判で明らかになるからだ。それでも、起訴すべきでな
い人を起訴した郵便不正事件とは逆に、起訴すべきだったのに、起訴しなかった、と
の検察審査会の判断は重い。
▼弁護士が検事役となる公判を、検察はただ見守る。そんな屈辱に耐える日々が
続く。前田検事の証拠改竄を隠した容疑で逮捕した、大阪地検の前特捜部長らと
の、血みどろの戦いを続けながら、である。
▼もっとも、小沢氏にとっても政治生命がかかった戦いだ。「脱小沢」ではあるもの
の、「政治とカネ」の問題にいまだ決着をつけていない菅政権も無傷ではいられない。