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【産経抄】10月1日
「いちがつ いちびる にンがつ にくてぐち さんがつ ざんない」。大阪万博のテーマソング『世界の国から
こんにちは』の作詞者として知られる詩人の島田陽子さんに、『ひと・じゅうにつき』という作品がある。
▼1月から12月まで、数え歌風に大阪弁の面白さでつないでいく。「いちびる」とは、調子に乗って悪ふざけ
をする、という意味だ。「にくてぐち」は憎まれ口、「ざんない」は、見るに忍びないほどひどい場合に用いる。
▼きのう、尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件をめぐる集中審議が行われていた衆院予算委員会の最中、
ニュースが入った。中国人船長の釈放について、政治介入があったのか、なかったのか。不毛な議論をあざ
笑うかのように、中国が拘束していたフジタの社員3人を解放した。
▼1人を留め置いたのは、中国に対する批判封じとみられる。日本にとって交渉のカードといえるのは、今や
衝突事件の模様を記録したビデオ映像だけだ。それなのに菅直人首相は、予算委員会であっけらかんと、「見
ていない」ことを明らかにした。
▼日本の弱腰に調子に乗ったロシアのメドベージェフ大統領は、日本の北方領土を近く訪問する、と明言し
た。これに対して、「訪問するとは受け止めていない」との首相発言は、相変わらず気迫に欠ける。さんざん「に
くてぐち」をたたいたあげく、「いちびる」中露両国に対して、日本政府の右往左往の対応は「ざんない」としか、
いいようがない。
▼きょうから10月。詩では「じゅうがつ じゅんさい」となる。水草のヌルヌルした感触から転じて、でたらめ、
いいかげんさを表す。菅政権を表現するのに、これ以上ふさわしい言葉はない。