10/09/27 06:30:27 gehnfpX60
産経抄 9月27日
「100年の時間が間に横たわり、本来なら決して交わるはずのないキーラーと自分に
接点が生まれたことが、何よりもすごいことだと思う」。2年前、8年連続200本以上
の安打を放ち、ウィリー・キーラーの大リーグ記録に並んだとき、マリナーズのイチロー
はこう語った。
▼10年連続を達成した今季は、ついに「安打王」のピート・ローズと接点ができた。
いや、ローズの通算10回の記録はすでに超えている。次の目標は、ローズの大リー
グ通算4256安打か、それとも打率4割だろうか。
▼きのうの秋場所千秋楽で横綱白鵬は、4場所連続で全勝優勝を果たし、連勝記録
も62まで伸ばした。「相撲の神様」双葉山が打ち立てた69連勝に並び、それを超え
るのか。11月の九州場所は、大変な盛り上がりを見せそうだ。
▼無敵と思われていた双葉山が、幕内3場所目の安芸ノ海に敗れたのは、昭和14
年1月15日だった。超満員の国技館は、怒号とともに座布団とみかんが飛び交ったと
いう。ラジオの実況中継中のアナウンサーは、目の前の光景が信じられず、絶叫する
前に、2度もそばの人に確かめたほどだ。
▼ただ「世紀の番狂わせ」には筋書きがあった。当時幕内力士の半数を占めていた出
羽海部屋では、早大出のインテリ力士、笠置山が中心となって、打倒双葉山の戦略が
練られていた。「秘密兵器」として、白羽の矢が立ったのが、スピードがある安芸ノ海だ。
双葉山とは初顔合わせで稽古(けいこ)をしたことがないのも好都合だった。
▼今の白鵬には、心技ともに死角がないようにもみえる。果たして70年の時を超えて、
安芸ノ海と接点をもつ力士が、現れるのか。できれば、日本人力士であってほしいが。