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【産経抄】8月11日
2010.8.11 03:18
小人閑居して不善をなす、とはよくいったものだ。歴代首相は、まとまった日程がとれる8月に外遊するのが
常だったが、菅直人首相は、内に籠(こ)もる選択をした。代表選に向け、にわか勉強でもしているのかと感心
していたら、出てきたのが日韓併合100年にあわせた首相談話だった。
▼談話づくりに奔走した仙谷由人官房長官は、「平成7年の村山談話の踏襲にすぎない」と民主党内の慎重
派を説得したそうだが、返す必要のない文化財まで「お渡しする」と約束した。第一、踏襲するなら改めて閣議
決定するまでもない。よほどほかにする仕事がなかったのだろう。
▼一読したが、一国を代表する者の談話とは信じがたいほど軽い。ことに「私は、歴史に対して誠実に向き合
いたいと思います」というくだりは、全共闘世代らしい思い入れたっぷりで笑ってしまった。
▼笑えないのは、どうやら民主党幹部のほとんどが、アジア各国に謝罪を繰り返す一方で、約250万柱の戦
没者を祭る靖国神社を軽んずるのが「歴史に誠実に向き合う」あかしだと思い込んでいることだ。8月15日に靖
国神社に参拝する予定の閣僚が誰もいない事実こそが、この政権の本質を物語っている。
▼自民党政権時代も小泉純一郎首相退任後、在任中に参拝した首相はいなかったが、それが政権交代を早
めた一因だと小欄はにらんでいる。祖国を守るため亡くなった人々の慰霊と外交とを天秤(てんびん)にかける
こと自体、政治家として失格だ。
▼愚にもつかぬ談話を出した首相に、いまさら何を言っても無駄だが、普天間問題にせよ、財政再建にせよ、
やるべき仕事はいくらでもある。歴史でなく、現在進行中の政治にこそ誠実に向き合ってほしい。