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【産経抄】8月10日
2010.8.10 03:29
甲子園では、連日熱戦が続いている。最近では、まんがや書道などの大会でも、「甲子園」の呼称を使う
ようになった。正岡子規や高浜虚子らを輩出している松山市で、平成10年から開催されている「俳句甲子
園」も、そのひとつだ。
▼競技は両チームが赤、白に分かれ、剣道の団体戦のように、先鋒(せんぽう)、次鋒、中堅、副将、大
将の5人が対戦する。互いの句が示された後、作品をめぐって討論を行うのがこの大会の特徴だ。創作力
と鑑賞力の2つの観点から、13人の審査員が評価して、赤、白どちらかの旗を挙げる。
▼8日行われた決勝戦に進出したのは、東京の開成高校Aチームと沖縄県立首里高校だった。この日の
兼題は、「白」である。取材した小紙松山支局の黒河仁朗(きみお)記者によれば、作品の見事さもさること
ながら、相手の作品をけなすことなく、ユーモアあふれる討論のやりとりに感心したという。
▼勝負の分かれ目は、開成の2勝1敗で迎えた副将戦だった。開成の句は、「陶枕(とうちん)の全(まった)
き白に小さき罅(ひび)」。「陶枕」の意味がわからないという首里側に対して開成の主将は、「ここに取りいで
ましたるは…」と、陶磁製の枕を取り出して爆笑を誘った。
▼開成の優勝が決まった後、審査員の一人、俳人の中原道夫さんは句を絶賛して、自分の陶枕を差し上
げると申し出た。すると作者が「かたじけない」と応じて、また会場を沸かす。大将戦は、首里の「白地図に国
境引くや沖縄忌」に軍配が上がった。
▼生涯で2万を超える俳句を詠んだ子規は、ちゃめっ気たっぷりの人柄で、友人たちとの句会を何より好
んだという。審査員にぴったりだ。野球好きでもあったから、本物の甲子園も堪能しただろうし。