11/10/21 01:30:39.18 FYOANuDE
>>108
「エトランゼのすべて」 著者 森田季節
変わった美少女に捕まり変な部活に強制連行されて奇人変人達と共にリア充への更正を目指す話
いわゆる、おれと一存のラブコメは修羅場すぎて憂鬱が少ない系です
ですがこの本は舞台を京都大学に移し、ラノベから一般向けにした点です
「んな部活認められねーだろ」「生徒指導に絞られるだろ」と言う宿命的疑問点をあっさり解決
大学ならおかしなサークルに変人が集まっても普通で、特筆する事でもありません
京都の学生を主人公に据えながら、森見登美彦のようにファンタジー世界に飛ぶ事も、
万城目学のように歴史を織り込む事も、円居挽のようにレトリックに淫する事もありません
別に舞台がどこでもいい話なので京都に土地勘が無くても大丈夫です
京都の地名が大量に登場しても何の役割もなく、読み飛ばして構いません
京大出にありがちな京都至上主義や衒学趣味が無い訳で読者に優しいですね
これまでの作品と違い、何気ない社寺トークや電車トークが仕掛けになっている心配も不要です
最後のどんでん返しのための伏線は意識的に見え見えにしてあるようです
徹底してパンピー向けに、付いて来れない読者を出さないよう心が折られています
著者はMF文庫J出身、一癖も二癖もある作品で魔改造も撥ねのけレーベルを渡り歩きましたが
GA文庫の「お前のご奉仕はその程度か?」と、続くこの本はアクが抜けました
青春小説の青臭さが鼻を突かない、臭みの無い白湯のような本に仕上がっています
三十前になれば自分の存在意義に悩む事も無くなるとこの本の中で語っています
そういう事なのでしょうか
これならMF文庫Jに復帰してラブコメも可能な実力でしょう