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僕の妹は漢字が読める 著：かじいたかし イラスト：皆村春樹
試し読みの段階でちぎるのはどうか、という批判もあるかもしれないがちぎらせていただく
なぜならこれは間違いなく衝撃作であり「買い」だからだ
まず表紙を見てみるとかわいい女の子のイラストに「妹」の文字
これだけでも世にいる訓練された紳士達は、あの手この手の妄想ができることだろう
だがそうはさせてくれない
その後の「漢字が読める」という文字を見て疑問符を浮かべてしまうのではないだろうか？
普通に義務教育を受けてきたものならば漢字が読めるのは当たり前だからだ
ではなぜ「漢字が読める」なのか
何を隠そうこの物語は23世紀の本を意訳したもので、その頃の未来には漢字がなくなっているというのだ
漢字がなくなる？そんな馬鹿な、と思う人もいるだろうが
歴史を振り返ってみると漢字廃止論という動きは何度もあったことなのだ
果てや全部ローマ字にすべきだ、という声まであった程だ
少し話はそれたが、この本はかわいいイラストに「妹」の文字を冠してはいるが
言語とは何か？言葉とは何か？文化とは？文学とは？ということを読者に問いかけているのだ
なぜ問いかけてるとわかるのか？
それは物語の中で登場するオオダイラ先生の小説が雄弁に語ってくれているのでぜひ試し読みをおすすめする
わわわ でんぐりがえっておぱんちゅ きらり☆
また、試し読みの最後を見てもらえればわかると思うが
未来のことと称して昨今の日本の文学を憂いているのがわかる
つまりこれは言語学、文学、文化に歴史、そして未来までをも含んだ文学小説なのだ！
惜しむらくは妹が義理という一点においてのみだ
血の繋がっていない妹などただの他人でしかない！
そこには背徳感、禁忌感がないではないか！
好きになってはいけないのに抑えられない様々な気持ち、その心の葛藤がいいのではないか！