11/01/17 12:52:43 cKVwhogE
>>121
説明が難しいところだがそこでいう「二次元と三次元」というのがアクセルワールドの場合
「作中人物の居る仮想現実(二次元)」と「俺ら(読者)の居る現実(三次元)」の二項ではなく
「作中人物にとっての仮想現実(加速世界)」と「作中人物の居る現実」と「俺らの居る現実」の
三項から成り立っていて
しかも『加速世界』の住民は全員が作中の現実世界にも実在するプレイヤーたちなので
本来主人公のハルユキにとって本当に大切なのはリアル世界での「先輩」らを含めた
「自分の居る現実」であるはずなのにも関わらず
そこでの最重要事項(いわく自分に自信を持つことであるとか、「先輩」との関係であるとか)が
仮想である『加速世界』の存在、そしてその中だけで「成長」していくことに100%依存しているというのが
この作品の最大のゆがみであるように感じられるんだ。
たとえばハルユキの成長物語としての一巻のトピックである「リアル世界のいじめっ子との関係」も
中盤に加速能力で相手をハメるくだりは願望充足エピソードとして普通にありうる話だが
終盤で彼の逆襲を受けて以降のハルユキの行動は
「ゲーム世界での黒雪姫を救う」行為ではあっても「リアル世界の先輩を救う」行為には全くなっておらず
結局ブレインバーストでの数々の経験を経てもハルユキのリアルでの行動は
なにひとつ変わっていない(=現実に対しては無力である)ことになってしまっている。
(というか、くだんの「逆襲」の内容があきらかに一中学生にはどうしようもないレベルの凶悪犯罪なので
最初から「リアル世界でのハルユキの対応の変化」などまったく描く気がないようにも思う。)
「現実」世界の問題が『加速世界』に持ち込まれたあと、その枠内だけで解決してしまって現実に戻ってこないんだ。
ゆえにこの「アクセルワールド」シリーズは、「ブレインバーストはリアルより重い」という
作中人物らが折に触れて熱弁する大前提を踏み外すとまったく感情移入のしようがなくなるという
「読者側の協力が必要不可欠」な作品だという印象がぬぐえないわけだ。