11/04/06 22:05:28.74 Vf8AYVmm
『SAOー』 著;川原礫 イラスト;abec 電撃文庫
ゲーム世界に閉じ込められ、デス・ゲームを強要されつつもたくましく生きる主人公達の物語。
ネットで異例の650万PVを達成した伝説のノベルを美麗なイラストで彩った本作品。
これだけでデビューしていたら電撃文庫の商業戦略の狡猾さに辟易して敬遠しただろう。
が、著者はこの作品とは別に『アクセル・ワールド(以下AW)』なる小説であろうことか電撃小説大賞の大賞を受賞しており、商業デビューはこちらで済ませるという大物っぷりを見せ付けた。
さて、前置きはこれくらいにしておいて、本作の魅力について語りたいと思う。
やはり、最初に目に付くのは緻密かつ抵抗感の少ない世界観の壮麗さであろう。
脳から発信される信号、感覚器官から送られる信号を共にシャットアウトし。
電磁パルスで仮想の感触を脳に錯覚させることによってフルダイブ出来る電脳世界を作り出す。
脳や人体について格別に専門知識を持っているわけではないが、
ある程度は勝手に耳に入ってくる現代の一般人にとって、これほど「おおっ、なんかそれっぽい!」と思わせるものはないだろう。
そうしてから描かれる、現実では先ずお目にかかれないような幻想的な都市やモンスター達
技術的限界から来る、少しだけ残念な出来のオブジェクトやエフェクト(液体などのこと)
オンラインゲーム世界ならではの、過酷なレベル上げに囚われる日々
ゲームオーバー(死)の呆気無さと現実味の無さからくる恐ろしさ
いつか体が衰弱死するのではないかという漠然とした不安、家族への思い
何の罪の意識も無く人を殺す(或いは壊す)プレイヤー
それらに葛藤を抱えながら立ち向かう主人公とヒロイン。
そんな中、徐々に育まれていく愛―