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名門校の女子生徒会長がアブドゥル・アルハザードのネクロノミコンを読んだら(早矢塚かつや・一迅社文庫)
まず、仮題の段階でみたものは誰も「ひでぇ便乗商法」と思ったことであろう。
著者が紅白の審査員に呼ばれたりアニメ化されたりと話題のつきない昨年の某ベストセラー
多少大きな書店ならその一角にそれと関連書籍や便乗本のスペースが設けられているのを目にする
「もし○○が××を読んだら」というフォーマットそのままのネーミングを用いる、本書のその姿勢
釣り針とわかっていてもあざといと言わざるを得ない。まして正式題名も単に「もし」を外しただけなのだ。
まして題材はいわゆるクトゥルフ神話である。某ニャル子さんはじめ、設定やキャラクターの元ネタにされやすいが
オリジナルの作品群や世界観に手を出すには少々敷居やハードルが高すぎる感は否めない。
ゆえに私はこの本を、ラノベの体裁をとった、いわゆるクトゥルフ神話の入門書や読本の類だろうと考えていた
設定や世界観、邪神のキャラクター、ラヴクラフトやダーレスら作り手などを物語を通して解説する形式だ。
あまり舞台設定やストーリー展開に深さや複雑さはなく、面白さは抜きにすれば無難にまとまった代物だろうと
しかし実際に読んで見てその予想は大きく裏切られた。実にオリジナリティと躍動感のある物語なのだ。