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ダーク・サイド~闇と光のクリスマス~ [メディアワークス文庫]【鷹村庵】
ダーク・サイド―そんな中学2年生の妄想レベルの題名にも関わらず表紙からはハードボイルドを匂わせる。
そんな一際異彩を放っていたこの作品を私は買わざるを得なかった。
舞台は勿論、裏の世界である。そこで有能な仕事屋として生きているのが主人公だ。
主人公はハードボイルドで世を達観しているのかと思えばそんなことはない。
依頼主に対しての不遜な態度、内心での反逆からは、彼は仕事屋であり、犬ではないそんな気概が見て取れる。
特に嫌いな白色のスーツを着ている依頼主に対しては敵意まで見え隠れする。隙あらば噛みつこうと。
そしてその魅力的な主人公が依頼のダブルブッキングという難題相手に華麗に立ち回る。
その爽快感に私のページを捲る手は止まることがなかった。
また、この小説を彩っているのは熟成したワインのような比喩である。
バスケットゴールにボールを投げ入れるようにちりばめられた比喩には感嘆を禁じ得ない。
最後にこの作者のネーミングセンスは光るものが在る。
白スーツの神治は神を治めるという名前により、強烈な存在感を漂わせている。
それは、主人公に「良い名前だな、今度偽名で使ってみるか」と言わしめたほどである。
私も今度使ってみたいと考えている。