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905 名前:イラストに騙された名無しさん[sage] 投稿日:2010/06/29(火) 19:25:08 ID:2vNLuMvP
ユヴェール P15-16
不精ひげは怒鳴った。そのまま絞め殺しかねない勢いで、アルベルトの胸ぐらをつかみあげる。顔をゆがめて、
もう一方の手をサッと振りあげた。
(―殴られる!)
歯を食いしばり、思わず目を閉じる。だが身構えるアルベルトに、覚悟した衝撃は襲ってこなかった。
代わりに苦しげなうなり声が聞こえ、店内からも動揺を帯びたざわめきがはしる。
周囲のどよめきに、アルベルトはうっすらと目を開けた。見れば、不精ひげは拳を振りあげたまま固まっている。
彼の背後から、淡い灰白色の外套をまとった青年が、拳をとめているのだ。
「こいつに手をだすな。痛い目に遭いたくなかったらな―」
(略)
「なんだてめえ……! 関係ねえ奴は引っこんでろ!!」
「関係なくはない。おまえのせいで俺も痛い思いをしている」
アネット一巻 P26-27
叔父は怒りの形相で彼女を振り向く。顔を歪めて、拳を振り上げた。つい先刻のことが脳裏をかすめ、
アネットは思わず目を閉じる。
―殴られる!
咄嗟にできたのは、歯を食いしばることだけだった。しかし、身構えるアネットに、予測された衝撃は襲ってこなかった。
「…………?」
周囲のどよめきに、恐る恐る目を開けてみる。見れば、目の前の叔父は拳を振り上げたまま、顔を真っ赤にして
棒立ちになっている。いつの間にか彼女たちの周りには野次馬が群がっていたが、その中にいた誰かが、叔父の背後から拳を止めているのだ。
「彼女に手を上げるな。腕を失いたくなかったら」
(略)
「何だお前! 関係ねえ奴は首を突っ込むな!」
「関係なくはない。おれは騒々しいのは嫌いだ」