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負の所得税
この問題の解決策も、フリードマンが45年前に提案している。負の所得税である。
これは課税最低所得以下の人に最低所得との差額の一定率を政府が支払うものだ。
たとえば最低所得を300万円とし、あるフリーターの所得が180万円だとすると、
その差額の(たとえば)50%の60万円を政府が支給する。
これなら最賃を規制しなくても最低保障ができるし、働けば必ず所得が増えるのでインセンティブもそこなわない。
アメリカでは、これに似た勤労所得税額控除(EITC)が1975年から実施されている。
フリードマンの提案したのは、こうした生活保護を補完する制度ではなく、
現在の所得税システムとともに生活保護や公的年金も廃止し、課税最低所得の上にも下にも
(正または負の一定率の)フラット・タックスを課すことによって、福祉を税に一元化するものだった。
これによって税制は劇的に簡素化され、厚生労働省を廃止すれば、きわめて効率的な福祉システムが可能になる。
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