11/08/01 12:08:47.28
斎藤貴男「カルト資本主義」(文春文庫)
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「機会不平等」といった近刊も好評の著者のことは、本書に寄せられた書評で知った。
以前から読んでみたいと思いながらそのままになっていたのだが、例によって文庫本になっているのを見つけて早速購入した。
バブル崩壊後の「失われた10年」といった言葉に代表される日本経済の自信喪失につけこむように幅を利かせ出した終末思想、
オカルティズムの蔓延についてのノンフィクションである。多用な媒体で散発的に発表してきた原稿が元になっていて、
いくぶん整理が足らないところもあるが、いまだ十分な価値を持った本である。
ちょうど今出ている「噂の真相」の「メディア異人列伝」に著者が登場していて、
『世界』と『週刊文春』の両方で書いていることについて触れていたが、
そうした意味で確かに著者の立ち位置は独特であるし、同時にとても貴重なものだ。
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