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県と4市は09年春、交付金を当て込んで既に計画した事業への「配慮」を要請。中電はこれに応じ、同年度に2億8千万円、
10年度に8億9千万円を支払った。福島第1原発事故が起き、浜岡原発が停止して再稼働問題が取り沙汰されている最中
の本年度も9月末に4億6千万円を払った。来年度も5億7千万円を予定する。
静岡県は全額を4市に配分。各市は、道路の拡幅や水道管の耐震化、学校の補修工事などに使った。県企画課は「中電側
の事情でもらえなくなったのだから地域振興に配慮してもらった」と話す。
一方、4市によると、直接寄付された計10億円は昨春に払われた。
浜岡4号機では昨年度、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再利用する「プルサーマル」が計画されており、「その
協力金として受け取った」としている。それぞれ病院建設や設備購入などに充てている。
プルサーマルは、07年に開かれたシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が「やらせ質問」を中電に要請したこと
が明らかになっている。駿河湾地震の影響などで実現はしていない。
中電の広報担当者は本紙の取材に「静岡県への寄付は、事業の公共性や社会的貢献度などを検討した上で決めた。その
他の寄付の有無は、相手方のあることなので明らかにできない」と述べた。
<全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士の話>
交付金がもらえなくなったら、計画は見直すべきだ。肩代わりを電力会社に求めるとは、「麻薬中毒」とまでいわれる原発立
地自治体の感覚がまひしている証拠。プルサーマルへの協力金も「金を払うから賛成してくれ」と言っているのと同じ。自治
体の自立性を害し、政策をねじ曲げる元凶だ。電力会社は「民間企業」を盾に情報開示に消極的で、自治体も寄付額を公
にしてこなかった。一企業が何億円も寄付するなんて聞いたことがない。
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