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『精神科・治療と看護のエッセンス』、市橋秀夫、星和書店、2000年
8.「妄想は否定してよいか、肯定してよいか」(PP. 19-20)
妄想は、病者にとって病的な所産であり、幻想的な願望や恐れで
あるかもしれない。しかし、同時に妄想にはその人の人間的な意味
方向が含まれているといってもよい。
妄想とは、本来の定義からすると、誤った確信をもち、それが訂正
不能である場合をいう。ずっと長期間変わらない妄想もあれば、簡
単に消失してしまう妄想もある。長期間、同一の妄想をもちづづけ
ることは実はまれで、薬物療法や精神療法の過程で消失していくこ
との方が多い。妄想自体を攻撃目標にして消失するということはま
れで、むしろ自然にとか、その人のかかえている問題を解きほぐす
ことから消えていくことが多い。
(続く)