10/11/27 16:52:59 XC5RSbsJ
>>520の続き
「変態になる」と書きましたが、人は誰でも心の内に青春世界を持っているものですよね。でもソレを
全面に押し出していると、それがどんな青春世界であれ、批判されます。例えば「オタク」がわかりやすい
例でしょう。会社でアニメの話ばっかりしてると、それがどんな名作であれ、「あいつはオタクでキモい」
と言われます。いくつかのパブリックな話題として認められてる趣味(野球・ゴルフ・車など)以外は、
社会で表明するともれなく「変態」として扱われる運命にあります。
で、結婚して嫁の尻に敷かれ趣味をやめさせられたり、そんな時間も気力も奪われたりして、青春世界を
捨てていくのが慣わしなんですけども、それを予見して結婚しなかったり、会社では趣味をひた隠しに
したり、もう最初から趣味以外の事が眼中にない人もいます。これが「変態」です。青春世界を心に秘めた
まま社会と迎合することなく、日陰の存在に甘んじて生きていく「変態」の生き様に耐えられなかったのが
三島由紀夫です。彼は自分の性癖を社会に認めさせたかったわけです。それをスタンダードにしたいと考え
ていました。そして賛同を得られずに自殺しました。
嗜好が多様化したのが認知されてきた現在は、以前ほど「変態」を咎められなくなってきています。会社員が
アニメ好きでも上司に叱られるということはないでしょう。逆に野球やゴルフなどに関心のない人が増え、
「日本人なら誰でも知ってる趣味」という概念が崩れていますな。とりあえず話題にだせばコミュニケーション
を取れるという切り札は、もうニュースと天気予報くらいでしょうか。これが「若者にコミュ力がない」とか
言われてる原因かもしれませんな。「多様化を認められない高齢者」が言ってるだけですけども。
三島も、多様化した現在に生まれてれば「ミリオタ」のレッテル程度で済んで追い詰められなかったかも
しれません。でも当時は「生きるか死ぬか」になるほどの問題だったのです。