10/12/01 13:52:00 Z/mFmO9n
>>809 つづき
シャラーはこれを裏付けるものとして完四七年九月四日の国務省政策企画部会合記録
を脚注で指摘している。
二つの敗戦国、ドイツ、日本は領土問題について異なる道を歩んだ。二度にわたる大戦
の原因が独仏間の領土問題であったことを反省したドイツ、フランスは、争点になって
いる資源の共同利用を図り、一九至年ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体条約に調印し、今日の
EUへの発展の基礎塞いた。他方、日本は米英の謀略とも言える構想と軌を一にする政策
を進めていくこととなる。多分自信を持って言えることは、日本の北方領土に関与してき
た人のほとんどがケナンたちの考え方を知らないことである。
日本は、一九五六年の鳩山一郎政権時代、歯舞・色丹を手に入れることで領土問題の解
決を図ろうとしたことがある。これに対し同年九月七日、米国国務省は日本に 「日ソ交渉
に対する米国覚書」を出している。
それによると、日本はサンフランシスコ条約で放棄した領土に対する主権を他に引き渡
す権利を持っておらず、このような性質のいかなる行為がなされたとしても、それは同条
約署名国を拘束しうるものではなく、また同条約署名国は、かかる行為に対してはおそら
く同条約によって与えられた一切の権利を留保するものと推測される、となっている。
日本に千島列島に関する領土問題を交渉する能力はないとし、仮に合意すれば米国はサ
ンフランシスコ平和条約にJる一切の権利を留保する、平和条約はチヤラになると言って
いる。凄い警告である。北方領土は日本が西側同盟に留まるか否かの試金石の役割を果たした。
その後も米国は日本とソ連が接近しないことを目指す。キッシンジャーが訪中し、毛沢
東、周恩来と会談している際にもキッシンジャーは、「日本とソ連が政治的な結びつきを
強めたら危険です」と述べている(前掲『キッシンジャー.最高機密.会語録』)。(つづく)