10/12/01 13:44:30 Z/mFmO9n
以下は孫崎享著「日米同盟の正体」より引用。
北方領土の利用価値
わが国の戦後外交に関する問題を紹介したい。わが国の戦後外交政策の柱に北方領土返
還の要求がある。今日この間題の解決は国民が強く望む外交課題のひとつである。ただ
し、この間題にはわれわれはもつと学ぶべきものがある。
「一粒で二度おいしいアーモンドグリコ」という宣伝がその昔あった。日本の領土である
北方領土は、米国にとり二度、三度と味わったおいしいアーモンドグリコである。
一度目はルーズベルトとスターリンである。ヤルタ協定(一九祖五年二月会談、四六年二月
米国国務省発表)で「千島列島はソヴィエト連邦に引き渡さるべし」と規定した。このヤル
タ協定の合意がどのように行われたか。グロムイコ元ソ連外務大臣は『グロムイコ回顧
録』へ読売新聞社、完八九空で次のように記述した要約)。
「ヤルタで会談に臨む前に、米側からスターリンに英語で書かれた緊急の書簡が届いた。
米国は『クリル(千島)列島についてソ連の領有権を承認する』と言ってきた。スターリ
ンは喜び、『米側は次にソ連の対日参戦を求めてくるぞ』と言った」
この時期、米国はソ連の参戦を強く望んでいた。ルトズベルト、及びルーズベルトの死
後大統領になったトルーマンに共通した関心事は、米国軍の被害をいかに少なく抑え、日
独の全面降伏を勝ち取るかである。そこで、日本の抵抗をできるだけ少なくするため、ソ
連の参戦を望んでいる。そのため、千島列島という餌をソ連に与えたのである。(つづく)