10/10/02 00:44:54 2J+kGHDB
【正論】評論家・西尾幹二 悲しき哉、国守る思想の未成育
また、アメリカが日米安保条約に基づいて抑止してくれると信じている人も圧倒的に多いようだが、
それは、さらに甘いのではないかと思っている。
アメリカは常々、領土をめぐる他国の紛争には中立だとし、現状の実効支配を尊重すると言っている。
だからブッシュ前政権が竹島を韓国領と認定したこともある。北方領土の範囲を最初に不明確に
設定したのはアメリカで、日ソ間を永遠に不和のままに置くことが国益に適(かな)ったからだとされる。
それが彼らの戦略思考である。
クリントン米国務長官が23日の日米外相会談で尖閣に安保条約第5条が適用されると言ったのは、
日本が実効支配している島だから当然で、それ以上の意味はない。侵略されれば、アメリカが直ちに
武力行使するとは第5条には書かれていない。「自国の憲法上の規定及び手続に従って、共通の危険
に対処するように行動する」と宣言しているだけだ。議会の承認を要するから、時間もかかるし、
アメリカが「共通の危険」と思うかどうかは情勢次第である。
日本の政治家に国家観念が乏しく、防衛と外交が三流にとどまる胸の痛むような現状は批判しても
し過ぎることはないが、他方、ことここに至った根本原因は日米安保体制にあり、アメリカの、日本に
攻撃能力を持たせまいとした占領以来の基本政策にある。
講和条約作りを主導し、後に国務長官になるダレス氏は、アメリカが日本国内に基地を保持する
所以(ゆえん)は、日本の自衛権に攻撃能力の発展を許さないためだ、と説明している。
しかし、アメリカも相当なものであり、尖閣の一件で、在日米軍の駐留経費の日本側負担(思いやり
予算)を、大幅に増額させる方針を固めているという。
日本は米中の挟み撃ちに遭っているというのが、今回の一件である。アメリカに攻撃力の開発を
抑えられたまま、中国に攻撃されだしたのである。
URLリンク(sankei.jp.msn.com)