11/05/17 10:22:27.61 RCsVlPYe
■ グリンピースのいう不法領得の意思って?
裁判リテラシー講座を書いてた者です。
グリーンピース・ジャパンという環境保護団体が、西濃運輸の配達中の荷物を無断で抜き取ったのが話題になっています。
この行為には何罪が成立するのでしょうか。そもそも犯罪なのでしょうか。
なお、グリーンピース・ジャパン当人は、「違法性については判断できない」とコメントしていますが、裁判所が判断すべき事項だと言ってるのなら当然です。
ドラクエで言えば「大魔王からは逃げられない」と言ってるくらい当たり前の話で、何の法的意味も持ちません。
当協会としては違法性はないと思ってると言っているのなら噴飯モノです。
ここで、グリーンピース・ジャパンの顧問弁護士は「不法領得の意思がないから無罪だ」といっています。
この反論を踏まえながら検討してみたいと思います。
◆窃盗罪に当たるには
刑法を紐解いて見ますと、235条に窃盗罪が定められています。
・第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃盗罪が成立するには、i.他人の財物を、ii.窃取することが必要です。
このように、条文上現れる犯罪の要素を「構成要件」と言います。
構成要件は、基本的に客観的に定められたもので、法がこのような行為をした者に違法性・有責性の推定を与えたものです。
ようするに、「こういう行為した奴は正当防衛とか意思無能力とかの特別の事情がない限り処罰しちゃうよ?」ってなわけです。
これを構成要件の違法性有責性推定機能とか、構成要件は違法行為を類型化したものだとか言います。
今回の事例ではi.については疑いようがないでしょう。
ii.の窃取とは、所持者の意思に反して自己の占有下に置くことをいい、無断で抜き取りという態様を考えれば当てはまると言えます。
しかし、解釈上、iii.「不法領得の意思」が必要だとされていて、学会の通説でもあり、最高裁の判例も取るところとなっています。