10/09/20 07:22:35
弁護士ドットコムによれば、ネット上の誹謗中傷で問題
になりやすいのが名誉毀損罪で、刑法上は「公然と事実を摘示し、人の名誉
を毀損した」ときに成立するそうです。「公然」とは、不特定多数の人が認
識し得る状態のこと。一昔前であれば、名誉毀損は主にマスコミの報道に
起因していましたが、個人の発言でも広く伝播するネットが普及したことでより身近になったといえるかも。
で、公にされた「事実」は、個人や企業の社会的評価を下げるもの、たとえ
ば「あの人は不倫をしている」「あの会社はインサイダー取り引きをして
いる」といった具体的なものでなければならないそうです。「バカ」
「アホ」程度の悪口では「名誉を毀損した」ことにはならないんですね(その代わり侮辱罪に該当)。
もっとも、名誉を毀損する表現行為であっても、それが「公共の利害
にかかわる」もので、「公益を図る目的」でなされた場合は、表現され
た内容が真実と合致するか、もしくは表現した当人がその内容を真実
だと信じるに足る「相当の理由」があったと証明されれば、罪を免れるそうです。
以上のことから、確たる証拠もなく他人の社会的評価を傷つけるよう
な具体的事実をネットに書き込めば名誉毀損罪が成立します。が、こ
の成立要件をめぐっては、こんな解釈も。
「あのラーメンチェーン店の運営母体はカルト団体だ」と自身のHP
に書き込んだ会社員男性が名誉毀損罪に問われた裁判で、一審の東
京地裁は無罪判決を下しました。裁判長は「ネットは利用者が容易に
反論でき、情報の信頼性も低い」と指摘。そのうえで、「故意にウソ
を書いたか、個人で可能な事実確認をしなかった場合に名誉毀損罪
が成立する」との基準を示しました。要するに、ネット上ではオフ
ラインの場合よりも名誉棄損罪が成立しにくくなる、と判断されたのです。
しかし、結局この判決は二審で破棄され、最高裁の判断により「逆転
有罪」が確定しています。つまり「ネットだからといって大目に見ま
せんよ」という判決が下されたわけですが、その過程には、ネットの特
性を見極めようと模索している司法の現場が垣間見えます。