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日銭は現行犯逮捕であり、容疑を認めていた。
もしも、容疑を否認していたら、こんなに早く、面会を許すはずがない。
留置場の面会室での面会は最長30分、同行者3人までとなっている。
面会室も鍵がかけられていて、面会者が出入りするには鍵をいちいち開け閉めする。
被疑者が絶対に脱走できないように厳重になっているのだ。
彼は妻子と別れているので、咄嗟に着替えや洗面用具を
差し入れてくれる人がいないのだ。
日銭が言う「酒が入ると自分は、時々かっとなることがあるんです。
まずいことをしたなと今は反省しています」
面会時間が終了したとき、僕は別れの握手代わりにアクリル板に両手をついた。
彼も僕の手のひらに合わせてアクリル板に両手をついた。
お互いの手と手は重なっていたけれど・・・
悲しいことにアクリル板の感触しか手のひらに感じることができなかった。
看守が面会室の後ろのドアを開けて、彼を連れていき彼は僕の視界から消えた。
僕は知っていた。ドアの向こうで彼がまた手錠をかけられることを。