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お産事故で脳性まひ…不適切な診療行為も 補償事案分析(1/2ページ)
2010年11月8日15時1分
お産の際に赤ちゃんが重い脳性まひになり、家族が補償制度の適用を求め、原因分析がまとめられた例のうち、多くに診療行為の問題が指摘されていたことがわかった。
お産事故の情報を集める財団法人日本医療機能評価機構(東京都)に、朝日新聞が情報公開請求をして11件の原因分析報告書が開示された。
出産時の事故で重い脳性まひになる例は、年間500~600人程度とみられている。
まだ制度が十分に知られておらず、補償制度の申請数は少なく、同機構は「11件は特異な例ではなく、他の出産時の事故でも同様の問題はあるだろう」とみている。
ただ、報告書には「当直が月に20回」「当直翌日の勤務緩和は図られていなかった」などの記述が多数あり、背景に、医師不足や労働条件の悪化など、過酷な産科医療の現状があることも分かる。
報告書によると、問題ある診療行為は、
分娩(ぶんべん)監視装置を付けていなかったり、赤ちゃんの心拍数をこまめに取ってなかったりした安全管理の問題(6件)
▽陣痛促進剤を最初から大量に使ったり、急激に増やしたりした(4件)
▽酸素吸入など事故後の蘇生方法の問題(3件)
▽診療記録に不備があり、分析が不十分(3件)
―などだった。
ある事例では、母親が医師に、おなかを押されたり、赤ちゃんを吸引されたりする行為を計23回、延べ57分にわたって続けられた。
産婦人科診療ガイドラインでは通常は5回、20分以内で行うべきだとしている。
これまでに、補償制度の対象となった約80件のうち13件で原因分析報告書が作られ、11件が開示された。
不適切な行為が事故の直接原因とみられるものは少ないが、11件のうち10件で確認できた。報告書の詳しい内容が明らかになったのは初めて。