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自分は仰向けに寝て、おなかに湯たんぽを載せながら、テツにこごとを言ってやろうと
思いました。
「これは、お前、カルモチンじゃない。ヘノモチン、という」
と言いかけて、うふふふと笑ってしまいました。「廃人」は、どうやらこれは、喜劇名詞の
ようです。眠ろうとして下剤を飲み、しかも、その下剤の名前は、ヘノモチン。
いまは自分には、幸福も不幸もありません。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
自分がいままで阿鼻叫喚で生きて来たいわゆる「人間」の世界において、たった一つ、
真理らしく思われたのは、それだけでした。
ただ、一さいは過ぎて行きます。