10/09/24 21:29:43 oO51OcFb0 BE:1022509297-2BP(1700)
>>245
「ある人が孔子に質問した。徳を以って怨みに報いるというのは、どうでしょうか。
老子以前にもこの言葉は諺のように使われていたのであろう。
質問者には、自分の寛容さを誇りたい気持ちもあったかもしれない。
しかし、孔子は言った。それならば、徳に対しては何を以って報いたらよいことになろうか。
怨みには直き心を以って報いればよい。徳にこそ徳を以って報いるべきなのだ。
ひどいことをされ、許せないと思う、逆に、自分にもありうることだと思って許す、また、忘れてしまいたいとも思う、これらが混じった感情が直だろう。
怨みに対しては、これが最も人間らしい心のあり方である。
だが、それを以って徳に置き換えることはできない。
徳は徳によってのみ報いられる。さもなければ、徳を卑しめることになるからだ。」
(呉智英著・現代人の論語 文藝春秋刊より)