10/11/13 11:41:03 LOe8LZ0G
では。
第二百三十条(名誉毀損) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の
有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、
罰しない。
(公共の利害に関する場合の特例)
第二百三十条の二 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が
専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証
明があったときは、これを罰しない。
2 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する
事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、
事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
このように230条の2では、(1)事実の公共性(2)公益目的(3)真実性の証明を
要件として免責されることになっています。本条は表現の自由に配慮した規定です。
とりわけ公人に対する批判は、国民にとって政治や社会のあり方を知るうえでの不可欠の
情報であり、表現の自由として保護する必要性が高いので、3項にありますように、(1)
と(2)の要件が満たされるものとされ、(3)だけを証明すれば免責されることになっ
ています。公人の私的行為に対する批判もその者の適格性を判断する重要な資料になりま
すので、(1)事実の公共性の要件が満たされやすくなります。つまり、国民の知る権利
や発言者の自己実現との関係で、表現内容の価値が高いので免責されやすくなります。
ちなみに私人であっても社会的に一定の影響力を持つ者に対する批判は、(1)事実の公
共性の要件を満たす場合があります(最判昭和56.4.16)。