この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十五ヶ条at BUN
この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十五ヶ条 - 暇つぶし2ch315:名無し物書き@推敲中?
11/11/06 22:31:19.00
土曜日 雨 買い物

あいつが一日中うちにいる土曜日はいつも憂鬱だ。
だから大学時代の友達の誘いにのることにした。
雨の中、駅への道を急ぐ。
近所に住んでいる老夫婦が車道を挟んだ向こうに見えたので軽く会釈した。
向こうも私に気づき、会釈を返して来た。
よし、これでいい。
外出の口実である買い物を済ませ、いつもの喫茶店に入る。
顔なじみの店員と軽く会話を交わす。
これで私が今ここにいることを複数の人間に覚えてもらえただろう。
コーヒーを飲みながら喫茶店でウインドウ越しに外を見ていると
救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎた。
携帯電話が鳴った。発信元はお隣の奥さんだった。
電話に出ると、うわずった声で要領を得ないことをまくしたてられた。
だが内容はわかっている。私もせいぜい動揺してみせなければ。
約束どおりやってくれたようだ。さあ、今度は私の番だ。


次は「探偵」「マシュマロ」「文庫本」

316:「探偵」「マシュマロ」「文庫本」
11/11/07 00:25:38.76
 中学生のころの怠惰が、ときどき私を悩ませる。
 高校受験も終わり、卒業を控えた中学三年生の三学期、美術の授業で平面板に彫り物をする課題を行なっていた。
 なかなかアイデアが浮かばず、やっと彫るものが決まって作業に取り掛かったものの、残り時間が少ない。
 期限は二月末の最後の授業までだったが、高校の合格発表も終わり、無事合格が決まっていて、余程のことがない限り覆ることがない状況で、あまりやる気が出なかった。
 結局期限が来て、未完成のまま提出するどころか、提出しなかった。
「できていない人は、卒業までに持ってきてくださいね」と言われたのに、作業に手も付けずに、未提出のまま卒業してしまった。

 あれから十数年が経ち、ときどき夢に出てきてうなされる。
 期限が明日に迫った時点で、課題と別のことをやっていたことに気づいたり、期末試験一週間前になって、他の教科も含めて、違う学年の教科書を今まで勉強していた状況だったりと、少し形を変えて、夢に出てきてうなされる。


317:「探偵」「マシュマロ」「文庫本」
11/11/07 00:28:49.41
 インタビューを受けたときに、この話をしたら、
「先生、今からでも、そのやりかけの課題をこなせば、うなされなくなるんじゃないですか?」
「卒業後、何年かは、本棚の文庫本の上に置いておいたんだけど、いつの間にかなくなってしまって。捨ててしまったのかな?」
「先生ご自慢のマシュマロ探偵に探してもらってはいかがですか?」
 マシュマロ探偵とは、私が執筆する推理小説に出てくる探偵の名だ。
「マシュマロより、コナン君の方が腕がよさそうだよね」
 と私が言うと、インタビューをしている彼の顔がひきつった。
 コナン君は、ライバル出版社の作品だ。このインタビューは、マシュマロ探偵掲載出版社の主催で行われている。余計なことを言ってしまった……。
「えー、なんにせよ、先生のご心労が軽減されるといいですね」
 と言って、笑いながら睨まれた。
「はは、今度、美術の課題に困った中学生をマシュマロ探偵が助ける話を書きますよ」
 絶対に締め切り期限は守ろうと、心に誓った。

次は「未来人」「現実」「進歩」

318:「未来人」「現実」「進歩」
11/11/08 23:40:25.67
「人間は進歩しなければならない」
 私は、そう思う。
 過去と同じことをやっていては、今この現在に生きている意味がない。
 多くの人は、現状に満足して、一歩前へと踏み出さない。
 なぜ今この時代に生きているのか? 過去ではなく、なぜこの時代に生まれたのか?
「世の中を変えるため、世界をよりよくするため」
 怠惰に生きていても、それなりに生きていける。現実は、それほどの困難を要求しない。
 しかし、人間は進歩しなければならない。
 過去の人間に現在を変えることはできない。今ここに生きている我々にしかできない。
 未来のことは、未来の人間に任せればいい。

319:「未来人」「現実」「進歩」
11/11/08 23:41:42.18
ーー3011年トーキョー
「という文章を、さっきタイムマシンで1000年前に置いてきたんだけど、どこか変わったかい?」
 と彼女に聞き、彼は周囲を見回すが、特に変わった様子はない。
「やはり人は、なかなか動かないものなのかな」
 過去が変われば、その先にある未来も変わって、タインマシンに乗り込む前と周囲の様子が変わるだろう、と彼は目論んでいた。
「でも、これが変わった未来で、私たちが気づけないだけなのかもよ」
「そうかな?」

320:「未来人」「現実」「進歩」
11/11/08 23:46:07.60
「未来人」が「未来の人」になってしまいました。

次は「だが男だ」「すまない」「望み」


321:「だが男だ」「すまない」「望み」
11/11/09 00:35:36.89
「……だが男だったんだ。すまない」
後部座席の男が暗がりの車内で言った。
男のタキシードのネクタイが少しだけ傾いている。
「もうどうでも良いさ。どうでもね」
運転席の男が言うと、後部座席の男は何か答えようと躊躇い
そしてまた言葉を飲み込んだ。

「望みはあるかい?」
運転席の男が言った。優しい口調だった。
母のような口調。慈悲深く暖かい。

 後部座席の男は首を振った。
心にも頭にも何も言葉が浮かなかった。
ただ一時間前のことが繰り返し思い出されるだけだった。
考えたくは無かったが考えないではいられなかった。
―終わりなんだ。でも良かったんだ。

 街の明かりが右から左へと流れていく。
人々は幸福そうだな、と後部座席の男は思う。
何も知らないっていうのは幸せなことだ。後部座席の男は思う。
何も知らないっていうのは。


「セックス」「嘘」「ビデオテープ」




322:「セックス」「嘘」「ビデオテープ」
11/11/10 01:06:58.50
「おまえ嘘ばかりつくな! このほくろ、おまえだろ!」
 なぜ彼氏がこれほど怒っているのかといえば、わたしの過去の汚点である、AVビデオである。
 彼はどこから手に入れたのかわからないけれど、旧くなったビデオテープをデッキに挿しこんで再生する。
 映像がぼやけてよくわからなかったが、たしかに有名な男優とセックスしているわたしが映っている。
「わたしじゃないよ。こんなざらついた映像じゃ、ほくろかしみだかわからないじゃない」
 彼にとっての問題は、出演していることもそうだけれど、それよりもさらに気にかかっていることがある。
 それはわたしの反応の仕方なのだ。
「おまえ、おれと寝ているときはこれほど気持ちよさそうにしていないじゃないか!」
 ほんとうにばか男である。
 演技だということを説明してもいいのだけれど、そうすると出演していたことを認めることになる。
 わたしはなんとしてもこのぼんぼん男と結婚して専業主婦になるつもりだったのだけれど。
 わたしの人生設計、こんなくだらないことで自らくじいてもいいのだろうか。
 彼が不機嫌になっている前で、わたしは悶々と考えつづける。

 つぎのお題は「花笠音頭」「インド」「花火」でお願いします。

323:名無し物書き@推敲中?
11/11/17 02:30:01.31
「留学生のお世話をしようと思うんだ」
ある日の夕飯の最中、父はいきなり切り出した。どうやら、インドからの留学生を我が家で受け入れる事を決めてしまったらしい。
次の週にはその時の僕と同じ年、高校二年生の女の子が我が家にやって来た。そして当然の様に僕がお世話係に決まってしまった。
決まってしまったものは仕方ないと、夏休みの間、彼女に街を案内する事にした。
毎年芋荷会が開かれる河原、蔵王の温泉、近所のプールなど。
日本のお祭りを見せようと、花笠祭りにも案内した。彼女は、思いのほか花笠音頭を気に入った様だった。彼女の笑顔が眩しく感じられた。
女の子と付き合った事の無い僕は、徐々に彼女を意識しはじめていた。
「日本の夏の風物詩に花火って言う物があるんだ。綺麗だから、今晩見に行かない?」
いつものとおり、僕は彼女を誘った。
「ハナビはインドにもあります。とってもきれいですよ」
黒目がちな大きな瞳を輝かせながら、彼女は言った。インドには『デイワーリー』と呼ばれるお祭りがあって、盛大に花火を打ち上げるとの事だ。少しがっかりした表情の僕に、彼女は囁いた。
「デモ、にほんのハナビ、みたいです。ワタシ、ハナビすきです」
盛大な花火大会の後、彼女は感謝の言葉を僕に伝えると、目を瞑る様に要求して来た。僕は言われた通り目を瞑ると、頬に柔らかいものが当たった。
「ステキなおもいでができました。ありがとう。インドにもきてください。いっしょにインドのハナビをみたいです」
僕は、初めてのキスに照れてしまい、頷く事しかできなかった。

彼女と過ごした夏休みから三年。最初は手紙やメールを交わしていたものの、受験もあり、次第に彼女との連絡は途絶えてしまっていた。
そして今、僕の手元には彼女と彼女の生まれたばかりの子供の写真が届いている。
写真の裏にはたどたどしい平仮名でこう書いてあった。
「ごめんなさい。でも、あなたきてくれないから……
 インドのはなびのしゃしん、おくります。ほんとうは、あなたとふたりでみたかったのだけれど」

次は「引き出し」「つむじ風」「微熱」でよろしくです!

324:323コピペミスしました
11/11/17 02:35:22.83
僕は今、一枚の写真を見ている。写真の中の女性は、大切そうに赤ん坊を抱きながらカメラに向かって微笑んでいる。
彼女の後ろには、空いっぱいに色とりどりの打ち上げ花火が咲き乱れていた。日本とは違う、エキゾチックなシルエットの向こう側に。

「留学生のお世話をしようと思うんだ」
ある日の夕飯の最中、父はいきなり切り出した。どうやら、インドからの留学生を我が家で受け入れる事を決めてしまったらしい。
次の週にはその時の僕と同じ年、高校二年生の女の子が我が家にやって来た。そして当然の様に僕がお世話係に決まってしまった。
決まってしまったものは仕方ないと、夏休みの間、彼女に街を案内する事にした。
毎年芋荷会が開かれる河原、蔵王の温泉、近所のプールなど。
日本のお祭りを見せようと、花笠祭りにも案内した。彼女は、思いのほか花笠音頭を気に入った様だった。彼女の笑顔が眩しく感じられた。
女の子と付き合った事の無い僕は、徐々に彼女を意識しはじめていた。
「日本の夏の風物詩に花火って言う物があるんだ。綺麗だから、今晩見に行かない?」
「ハナビはインドにもあります。とってもきれいですよ」
黒目がちな大きな瞳を輝かせながら、彼女は言った。インドには『デイワーリー』と呼ばれるお祭りがあって、盛大に花火を打ち上げるとの事だ。少しがっかりした表情の僕に、彼女は囁いた。
「デモ、にほんのハナビ、みたいです。ワタシ、ハナビすきです」
盛大な花火大会の後、彼女は目を瞑る様に要求して来た。僕は言われた通り目を瞑ると、頬に柔らかいものが当たった。
「ステキなおもいでができました。ありがとう。インドにもきてください。いっしょにインドのハナビをみたいです」
僕は、初めてのキスに照れてしまい、頷く事しかできなかった。

彼女と過ごした夏休みから三年。最初は手紙やメールを交わしていたものの、受験もあり、次第に彼女との連絡は途絶えてしまっていた。
そして今、僕の手元には彼女と彼女の生まれたばかりの子供の写真が届いている。
写真の裏にはたどたどしい平仮名でこう書いてあった。
「ごめんなさい。でも、あなたきてくれないから……
 インドのはなびのしゃしん、おくります。ほんとうは、あなたとふたりでみたかったのだけれど」

次は「引き出し」「つむじ風」「微熱」でよろしくです!

325:「引き出し」「つむじ風」「微熱」
11/11/18 01:23:16.42
ぼくの引き出しのなかにはひとつの雑誌の切り抜き記事が入っている。
それは2005年の「つむじ風が火星にも!」なんてタイトルで、衛星写真も掲載されている。
他愛ない記事だともいえるのだけれど、どうしてもぼくはそれを棄てきれずにいる。

当時ぼくは科学クラブなる学科内非公認サークルに属しており、共通項はなんとなく科学実験が好きだったというだけの遊び仲間だった。
ぼくはそのなかで晶子という名前の女の子に好意を寄せていた。
しかし彼女はぼくに微熱ほどの関心さえもなく、ただの話しやすい男の子という存在でしか把握していなかった。
あるときぼくがほかの惑星での微細な気象観測は、いまの技術の精度では難しい、なんてことをみんなの前でしたり顔で話したことがあった。
ちょっと知識のあるふりをして、かっこつけたようになんの根拠もないことをさも見てきたかのように語るのは容易い。
みんなそのときは感心して聴いていたが、しかし晶子はつぎの日「ほら」と勝ち誇った顔でぼくだけに見せてきたのは上記の記事だった。
ぼくは急激に恥ずかしさを憶えたのと同時に、彼女に対して気後れを感じ、なんとなく彼女に対して話しかけにくくなってしまった。
好きなのに、仲がよかったのに、思いを伝えることにさえためらいを憶えた。

ぼくに後悔があるとすれば、彼女との仲をそのまま修復できなかったまま、彼女は交通事故でそれから三ヵ月後亡くなってしまったことだ。
苦い自責の念を込めたまま、その記事をぼくはいまでもなかなか棄てられずにいるのだ。

つぎは「昆布」「妊娠」「新嘗祭」でお願いします。

326:昆布と妊娠と新嘗祭
11/11/20 21:31:48.48
 小学校、放課後。
ダイチ「今日は新嘗祭だな」
ガチャギリ「―ってナニよ?」
ナメッチ「わかんないっす……」
ダイチ「なんだお前ら、新嘗祭も知らんのか?」
ハラケン「僕、知ってるよ。新嘗祭というのは宮中祭祀の一つで、」
ダイチ「原川、お前は黙ってろよ(博識ぶるんじゃねえ!)」
 男子たちがワイワイやっていると、イサコが通りかかった。
ダイチ「あ、イサコさん、今日は新嘗祭ですね」
イサコ「なん……だと? ニイナメ祭……(お兄ちゃんを舐める祭り、かな?)」
ナメッチ「そんなことより、せっかくイサコおやびんも揃ったんだからあれしよ、アレ」
ガチャギリ「おっ、乱交か、いいねえ!」
イサコ「お前ら、ここは学校だぞ。それにアレも持ってないくせに妊娠したらどうするんだ?」
ハラケン「イサコ、それなら大丈夫だよ。昆布をたくさん食べれば」
ガチャギリ「それ放射能災害時の間違いじゃね? ま、これも間違いなんだけどさ」
ダイチ(なんだ、ハラケンて意外と馬鹿なんだな……安心した)

次「眼鏡」「電脳」「うんち」

327:名無し物書き@推敲中?
11/11/22 00:06:20.44
 今日、バイトに行こうとしたらスクーターのシートにうんちが乗っかってた。
一瞬、ほんの一瞬だけ落ち葉かと思って手で払おうとした。
―あの野郎!!殺す。何があっても殺す。
俺は怒りの沸点にあって自制が聞かない状態になってたから、前の家のドアを蹴飛ばそうと
道路に進み出た。が思い直した。あの糞婆がビデオで撮ってるとも限らないからだ。

知らない人には訳がわからんだろうが要約すれば俺のバイクがうるさいと
前の家の婆が俺に文句を言った。俺は謝ってアイドリングはしないようにするといって
事実、注意されて以来していない。がマフラーを交換していないのが婆の気に
触るらしく先月も俺がアパートに帰ってきたときガン見された。そして
嫌がらせの結果がこれだ。
―あの婆。殺す。

とはいっても実際に殺して刑務所に行くのは嫌だし、俺はそんなにひどい人間ではない
―はずだと思うからするわけが無い。ではどうしたらいいか? 

電脳世界にあっては爆弾の作り方はカップラーメンを作るより短い時間で
見つけることが出来る。俺はモニターの前でわけの分からない奴には、呪文とも思える
化学式を目に頷いた。アイガティイト。

大便爆弾が破裂した事件はインターネットでも話題になってるから、君も知ってるだろう。
そして俺は刑務所にも行かず前と同じような生活を続けている。なぜかといえば所詮婆は婆。
俺が怖くなったに違いない。一切しゃべらなかったらしい。
まあ婆も眼鏡を壊しただけで実害は殆ど無かったようなもんだから。
悪臭が近所に数週間漂ったのを実害と言わなければね!



サイコ コブラ ラクダ

328:サイコとコブラとラクダ
11/11/23 06:10:27.39
 とある小学校の遠足。場所は、ふれあい動物園。
ダイチ「すげーなここ。動物にじかに触れられるんだってよ」
デンパ「でも獣姦はやっちゃだめだよね」
ナメッチ「ジューカンて……何?」
ハラケン「獣姦ていうのはね、人間と他の動物が性的―」
ダイチ「お前は余計なこと言うな(博識ぶるんじゃねえ!)」
ガチャギリ「ダイチ、こんな奴らほっとこうぜ。キモすぎだ」
ダイチ「そうだな。あっ、見ろよ。ラクダだ。入園者に混じってラクダが悠々と歩いてやがる!」
 ダイチたちがラクダに乗ろうと駆け寄ると、それより早くイサコがコブの間に飛び乗った。
イサコ「何よ、なんか文句ある?」
ダイチ「イサコさん、いえいえ文句なんてありません(くそ、女のくせに!)」
 異変が起こった。二つのコブがイサコの体を挟んでもぞもぞと動き出したのだ。
イサコ「なん……だと?! おいやめろ、これは何だ?」
ガチャギリ「あれ、イサコの奴様子が変だぞ」
ナメッチ「なんかラクダのコブに挟まれて気持ちよさそうですね。のぼり棒みたい」
デンパ「イサコ、サイコーだよ。人前で動物とプレイするだなんて」
ヤサコ「ねえねえみんな、何やってるの? 見て見て、これ素敵でしょう?」
 頭にとぐろをまいたコブラを装着したヤサコがやってきた。一同は一目散に逃げ出した。

次「首長竜」「ヒゲ」「魚類」

329:「首長竜」「ヒゲ」「魚類」
11/11/23 08:58:17.10
 怨むなら魚類に生まれた自分を憎もう。
新種の回遊魚と言われる私の顔はどこからどうみてもサカナっぽい、
むしろ魚類とされる方が納得できるほど醜い。
 同じクラスの「首長竜」は皆の人気者だけど、
首の長さをいつもからかわれていて、その度へらへら笑ってて、最悪。
見世物扱いってこと自覚してるのかな。
 魚類と笑う級友の声を忘れようと速足で廊下を歩いていたら前から歩いてくるにやついたヒゲに呼びとめられた。
「回遊魚のくせに止まってていいのか?死ぬんじゃないのか?お前はほんと」
 言い終わらないうちにヒゲが廊下のかなたへ吹っ飛んだ。
私の隣にはいつの間にか首長竜が立っていた。
しなやかにひねってヒゲを撃墜した彼の長すぎる首に、私は恋に落ちた。

次「こころ」「水虫」「みかん」

330:名無し物書き@推敲中?
11/11/23 14:37:33.40
「しくしくしく・・・」
「どうしたんだい、みかんさん」
「あ、水虫さん。ぐすっ・・・きいてくださいます?」
「うんいいよ」
「この人に大事なものを奪われました」
「え、それはなんだい。あ、中身がない」
「そう、わたしの中はからっぽなんです」
「かわいそうに」
「もう生きていく自信がありません」
「まあそうだろうね」
「身もこころもボロボロです」
「身はもうないけどね」
「うっうっ・・・」
「わかったわかった、おれに任せな」
「はい、どうかこの人間に天誅を!」


次は「水筒」「サプリ」「引き出し」

331:モッティ ◆uSDglizB3o
11/11/23 20:03:28.68
お題>>330 

机の引き出しを開けると、サプリと書かれた封筒が入っていた。
この字はあいつの字だ。
健康マニアで、人の言うことを信じやすくて、お人好しの。
中身はいつも私に飲ませようとしてるサプリの錠剤もろもろだった。
私はそんなものは信じないと何度行ったら分かるのだろう。
効果があるのは科学的に証明されている必須栄養素ぐらいだ。
しかも、こんな怪しい、何がはいっているか分からない錠剤をよく飲めるもんだ。
そんな錠剤を、「これを飲めば健康になるんだよ」っていつも薦めてくる。
しょうがないので、いかにも、いやいや飲んでいるという顔して飲んであげている。
それをみるとあいつは安心した顔をするのだった。
よくみると封筒に何か書いてある。
「私が居ないときも飲み忘れちゃダメだよ。これを飲めば元気でいられるんだよ」
とか書いてある。
サプリを封筒から出しての手のひらで転がして、
「飲まずに捨ててもわかんないよな」とか一人ごとをいってみた。
そして、水筒の水で、あいつのくれたものを自分の中に流し込んだ。

お題「戦車」「魚」「居間」

332:戦車と魚と居間だっちゃ!
11/11/24 22:43:32.59
メガネ「ラムさん、今助けに行きます」
 学生服を着た眼鏡の男はそう言うと、面堂が残した戦車に乗り込んだ。
メガネ「カクガリ、パーマ、チビ、お前らはどうするんだ?」
カクガリ「俺は……」
パーマ「メガネ……」
チビ「ラムさん……」
メガネ「強制はせん。決断は貴様ら自身の意思で決めるんだな」
パーマ「ちくしょう! この戦車四人乗れるんだろうな」
 パーマの一言で一同が戦車に乗り込んだ。
メガネ「レオパルド1の定員は4名。少々キツいが我慢しろ。この狭さと閉
 塞感が戦車の醍醐味だ。行くぞ!」
 すでに満身創痍と化したクロガネの亡霊は、四人のラム親衛隊を乗せて、
ビルの壁面一杯に広がる巨大な魚影へと突進した―プチッ!

 居間でテレビを見ていた俺はついに欠伸の意見に従ってスイッチを切ってしまった。
「相変わらず押井監督は意味が不明だなあ……さあ寝るか」

次回「鬼」「弁天」「雪女」

333: ◆/XayXVEOhA
11/11/26 03:28:29.18
「鬼」「弁天」「雪女」


企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても国家や民族が消えてなくなるほど、
情報化されていない近未来─になっても、全国おパンツ職人大会が開かれることはあるわけで……。
世界、いや、宇宙中から応募者が殺到した。入賞者の発表は11月8日、
一桁の数字を足すとカブ(9)になるという get9な日が選ばれ、会場は言わずもがなの友引高校、その校庭。
♨の司会により、最終選考には残らなかったが主催者の目を引いた応募作品への選評が読み上げられる。
審査員はサクラさんである。
「迷惑な応募者がおる。参加しておいて辞退するという不届き者。この場にいるなら名乗りいでぃ!」
ざわ・・・つく中、リュックサックを背負い、両手でカメラを包むようににぎった、やや小太りの、
シャツをきちんとズボンの内側にしまった男性が「僕です」と叫んだ。
「ほぉ、おぬし。弁明があるなら言うてみぃ」
「不具合を見つけたら回収&修理、または破棄。それができないのが辞退するのが僕のジャスティス」
「フン。送られた側の都合を考えぬのか? 単なる迷惑じゃ。もう二度と応募せんでいい」
そして、彼の作品が晒された。爆笑の渦が巻き起こる。
辞退するまでもなく落選じゃないか、プロフが物凄いなら理解できるが、といった罵倒が浴びせられる。
最終選考に残ったのは弁天による赤い西陣織のパンツと、雪女による木綿の腰巻、そしてラムの鬼のパンツである。
チェリーと名乗る坊主の提案により、会場に訪れた観客の投票によって優勝者を決めよう、となったが、
結果を見届けずに会場を去ろうとしている彼に、校門の手前で、つむじのあたりからツノを一本生やした
小鬼が辞退男に訊いた。「なぁ、わいはあんたの作品、好きやで」
「……あ、ありがとう」
「だからラムに投票してくれへんかぁ?」
彼は、ひとこと、ちゅど~んと呟いて、校門を出た。


次も「鬼」「弁天」「雪女」でお願いします。

334:「鬼」「弁天」「雪女」
11/11/28 16:06:33.87
雪がしんしんと降る夜だった。

高橋は柱の陰に隠れ、タバコに火をつける。フッーと一息。
タバコは学生時代からずっと付き合ってきた銘柄だ。パートナーと言ってもいい。高橋はタバコを指先で回しながら、その先で燃える火を見つめた。

「鬼ごっこをしょう」
と、切り出したの同僚の坂井だった。
その日高橋たちは、金曜の終わり、例のごとく飲み会を開いた。
その中で、一次会、二次会、三次会と行くうちに、若い連中で馬鹿らしい考えが浮かんだわけだ。

「童心にでも返ったつもりかよ」
と、つぶやく。白い息が、目の前に現れ、そして消えていく。

場所は弁天神社。高橋が小さいころ、よく走り回っていた場所だ。
目の前を見上げると、弁天様の像が、静かな雪に埋められながらも、荘厳に立ち尽くしている。子供時代には、こいつに悪戯しまくったっけ。
ふと高橋は自分のコートを脱いで、弁天様にかけてやることにする。
「これでよし」
と、気分よく弁天様を眺めていると、電話の着信。
出ると、同じく鬼ごっこ参加者の橘からだった。
「おい、雪女がでたぞ」
と、受話器ごしに呂律のまわらない声でまくし立てる。
「はぁ?」
と、突然、叫び声とともに橘は神社の真ん中にまで飛び出してきて、派手にコケた。
顔を真っ赤にして、雪を被りながら、腕を必死に振り回し、架空の雪女と戦っている。その姿は随分と馬鹿らしくて、なんだか笑ってしまった。


次、「地下室」「鮫」「ズボン」

335:地下室…鮫…そしてズボン
11/11/28 22:17:18.36
「おい、早くそのズボンを脱いで見ろ」
 眼光の鋭い老人は、つなぎの作業着を着た短髪の娘に命令した。
「……わかったわ」
 娘―リンダは躊躇の欠片も見せず、汚らしい作業着を床に落とす。
 隠れていた両脚が露わになった。
「やはりな、歩き方でうすうす分かってはいたが」
 リンダの右足はチタン製の義足だった。最新型なので、本物の脚と同じに動く。
 ただ女としての見た目は、そのおかげで良くはなかった。
「パパに買ってもらったの。三十年のメンテナンス付きよ。年齢に合わせてリサイズもできるわ」
「そんなことはどうでもええ。なんでそうなった?」
「鮫よ。海で遊んでいたら、とつぜん鮫に食べられちゃった」
「よくある話だな。耳にイカができそうだぜ」
「だったら聞かないでよ」
 リンダは少しガッカリしてベッドに体を投げ出す。
「さあ、これを見ても私を抱けるの?」
「わしは見た目では判断せん。その裏に熱くくすぶる魂を見て、そしてそれを抱く」
 やがて暗い地下室に、二人の荒い息づかいが揺れ動いた。
 それは残り少ない酸素の中で、二人にできる最後のいのちのあがきでもある―。

次は「身代金」「侍」「癌」でお願いします。


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