10/08/19 23:55:18
テーマが微妙に変わったみたいなので今まで書いてたのをボツにする事にした。
ボツ作
1
親を殺した理由は別に大したことじゃなかった。
目覚めたら太陽が黄色かったわけでもなく、幼い頃の虐待への復讐というわけでもない。
べつに狂ったわけでもなければ、幼い頃に虐待を受けたなんて事もなかった。
ただ、妹の友美とセックスしていたところを見られ、僕との仲を引き裂かれそうになったからに過ぎない。
母親からの連絡を受け、仕事を早退し、夏の炎天下の仲を汗まみれになって帰ってきた父親はとりあえず
僕を十回ほど殴りつけて怒鳴った。
「自分が何をしたのか解っているのか。友美はまだ小学生だぞ。しかも、実の妹じゃないか。せっかく
受かった大学にも行かずプラプラして、働くわけでもなく、お前は何をしているんだ」
すごく正論です……
しかし、世の中、正しさだけでは生きていけないのだよ、父さん。
などと思ったのだが、父親の怒りの炎に油を注ぐだけなので、僕は黙っていたのだった。
母親は泣きながら僕を睨み、ご近所に知れたら恥ずかしくて外も歩けないわ、などと言う。
我が家の居間には重い空気が張りつめ、父親が一方的に怒鳴り続ける家族会議の中で母親と友美は下を向いて泣いていた。
「とりあえず、お前には家を出てもらう。アパートを借りてやるから、そこに住め。そしてこの家と友美には二度と近づくな」
父親はそう言うとまた僕を二回ほど殴り、スーツのポケットからタバコを出すと火を付けて吸い始めた。
僕は絨毯の上に転がされ、軽く頭をぶつけると廻る世界の中に見える家族が遠くに感じられ、そしてどうでもよくなったのだ。