ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3]at BUN
ワイが文章をちょっと詳しく評価する![3] - 暇つぶし2ch55:名無し物書き@推敲中?
10/05/25 13:30:27
 この世の無情と運命の悲惨さが現出したような、焼け落ちた家の残骸をまえに、私と兄の悠は、
この現実がいまだに信じられぬかのように立ち尽くしていた。
 どうして、こんなことがおきるの? おじいちゃんが焼け死ぬなんて酷い死に方をしなければいけ
ない理由がどこにあるの? こんなのって、あんまりよ……。
 どんよりと曇った空からは、私達の悲しみに同調したかのように、まるで泣いているかの如く、さ
めざめと雨が降っている。
 あの日に、雨が降っていれば―望むときには降らずに、望まないときに降る、忌ま忌ましい雨
なんて二度と降らなければいいのに……。
 目を閉じるとまざまざと甦る我が家の風景も、目を開ければ、古くはあるけれど美しい家も、祖父
の愛した石南花の花も、居心地の良い四阿東屋も、全て焼失した無惨な残骸となって映る。
 もう二度と見ることは出来ないのね……。炎に焼かれて、どれほど苦しかったことだろう。
 恐ろしい炎が祖父に与えた苦痛―その想像を絶する苦しみ、放火犯への怒り、家族を、家を失
った哀しみの感情に、思わず泣き出す私を、悠が優しく抱き寄せる。
 悠が生きていてよかった。悠まで死んでいたら、私―。

 ―約二週間前の深夜、放火によって火の手があがり、木材ばかりの古い家は瞬く間に火が広
がり、両親と祖父は逃げ遅れ、その身は灰と化した。
 私はちょうどその時、聾学校の行事に参加していて難を逃れ、事件を知ったのはその日の早朝
だった。
 何も知らずにすやすやと眠っていた私は先生に激しく揺すり起こされ、寝ぼけ眼に見る先生の
動転した様子が何となく可笑しくて、笑う私の顔に先生の手がとぶ。起きたばかりの私の頭は混乱
したが、私の耳が聞こえないことを知っている先生が激しく口を動かすのを見て、徐々に何か大変
なことが起きたと分かり始めめた。先生も私が難聴だったことに気付いたのか、手話ももどかしい
とばかりに、テーブルの上にあったクロスワード雑誌に文字を書きなぐる。
 〔家がもえてるの]


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